2015.08.17 | ニュース

子どものインフルエンザにもオセルタミビルが効果あり

小児インフルエンザ患者452人のランダム化研究
from The Pediatric infectious disease journal
子どものインフルエンザにもオセルタミビルが効果ありの写真
(C) Andrey Popov - Fotolia.com

インフルエンザの治療薬であるオセルタミビル(商品名タミフル)は、大人はもちろん小児に対しても有効なインフルエンザ治療薬として知られています。その根拠の1つとして今でも引用される、2001年の研究を紹介します。

◆小児インフルエンザ患者へのオセルタミビルの効果を測定

この研究ではオセルタミビルの有効性、安全性を調べるため、オセルタミビルを飲む群と偽薬を飲む群に分けて比較する試験が行われました。

対象となったのは1歳から12歳の、咳と鼻風邪の症状と発熱の症状を呈した452人のインフルエンザ患者で、217人がオセルタミビル群、235人が偽薬群に割り当てられ、症状が治まるまでの時間や副作用の程度などを比較されました。

 

◆有効性あり、副作用は軽微

有効性について、次の結果が得られました。

感染した小児の症状持続時間の中央値は、偽薬を投与した群と比べて、オセルタミビルを投与した群では36時間(26%)減少した(101時間;95%信頼区間:89-118時間 VS 137時間;95%信頼区間:125-150時間 ; P < 0.0001)。

偽薬を飲んだ群の小児患者に比べてオセルタミビルを飲んだ群の小児患者では、症状の持続時間が36時間程度短くなりました。

 

安全性及び副作用について、次の結果が得られました。

オセルタミビルによる治療は概して認容性が高かったが、嘔吐頻度の上昇(5.8%)に関連している。有害事象発生による試験中断率は両群共に低い値であった。(オセルタミビル1.8% VS 偽薬1.1%)オセルタミビルによる治療はインフルエンザ特異的抗体産生反応に影響を与えなかった。

この研究では、オセルタミビルの副作用である可能性があることとして、5.8%程度の嘔吐頻度の上昇が報告されました。

研究班は「症状開始後48時間以内の小児インフルエンザ患者に対するオセルタミビルの経口投与は、効果的でよく認容される治療法である」と結論しています。

 

こうした研究でオセルタミビルの効果が示され、現在も子どものインフルエンザの治療に使われています。ただし、副作用については他にも研究があり、別途紹介する予定です。

執筆者

伊藤駿汰

参考文献

Oral oseltamivir treatment of influenza in children.

Pediatr Infect Dis J. 2001 Feb 20

[PMID: 11224828]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。