オセルタミビルで2-3日早くインフルエンザが回復

オセルタミビル(商品名タミフルなど)は現在までインフルエンザの代表的な治療薬として使われています。その根拠のひとつとされる『JAMA』の2000年の論文では、インフルエンザの回復を早めたり重症度を低減させる効果が示されました。
◆629人の健康な成人を対象に調査
アメリカの60の施設で、18歳から65歳のインフルエンザに感染していない629人の成人を調査対象としました。
被験者に対してオセルタミビルを服用した時の結果を、薬として効果を持たない偽薬を服用したときの結果と比較しました。それぞれの被験者は以下のような3つの治療グループの1つに無作為に振り分けられました。
- 1日2回、75mgのオセルタミビルを服用するグループ(211人)
- 1日2回、150mgのオセルタミビルを服用するグループ(209人)
- 1日2回、偽薬を服用するグループ(209人)
◆オセルタミビルで回復が2-3日早くなった
被験者629人のうち、インフルエンザに感染したのは374人(59.6%)でした。
調査の結果、以下のことが分かりました。
374人(59.6%)がインフルエンザに感染した。被験者の罹患期間は、偽薬(中央値, 103.3 時間)と比較して、オセルタミビルを服用することで、1日2回75mg(中央値, 71.5 時間、P<0.001)、1日2回150mg(中央値, 69.9 時間、p=0.006)の両方で30%以上減少した。病気の重症度は、偽薬(中央値スコア, 963スコア時間)と比較して、75mg オセルタミビルによって38%減少し(中央値スコア, 597スコア時間; P < 0.001)、150mg オセルタミビルによって35%減少した(中央値スコア, 626 スコア時間; P < 0.001)。オセルタミビルによる治療によって熱の期間は短くなり、オセルタミビル群は偽薬群よりも2-3日間早く通常の活動に戻った(P≦0.05)。
つまり、オセルタミビルを服用したグループは、偽薬を服用したグループよりも2-3日間早く通常の活動ができるようになりました。また、オセルタミビルの服用によって、インフルエンザの重症度も低減していました。
オセルタミビルは、インフルエンザに感染している期間を短くし、重症度を軽くする可能性が示されました。一方で、米国のCDC(Centers for Disease Control and Prevention, アメリカ疾病管理予防センター)では、高齢者や5歳以下の子どもや妊婦、
執筆者
Efficacy and safety of the oral neuraminidase inhibitor oseltamivir in treating acute influenza: a randomized controlled trial. US Oral Neuraminidase Study Group.
JAMA. 2000 Feb 23
[PMID: 10697061]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。