◆全身振動トレーニング群と通常トレーニング群にランダムに振り分け
全身振動トレーニングは、足元から振動を与えられる機械の上に立ち、そのまま姿勢を保ったり、場合によってはスクワットなど動作を行うトレーニングです。
今回の研究では、30名の脳性麻痺児を、全身振動トレーニングを行う群と通常の理学療法を行う群にランダムに振り分け、3か月の治療後に膝を伸ばす筋力とバランス機能への効果を検証しました。
◆全身振動トレーニング群で膝の筋力、バランス機能が改善
調査の結果、以下のことが明らかとなりました。
実験群の子どもでは、コントロール群と比較して、有意な改善を示した(P<0.001)。
治療後、毎秒60度および毎秒90度のピークトルク値は、それぞれコントロール群では28.8 ± 0.45N・m、47.5 ± 0.7N・mであったのに対し、 実験群では、30.9 ± 0.68N・m、54.2 ± 1.7 N · mであった。
治療後、安定性指標の総得点は、コントロール群、実験群それぞれ2.75、2.2であった。
全身振動トレーニングを行うと、膝の筋力、バランス機能が通常の理学療法よりも改善したという結果でした。
筆者らは、「全身振動トレーニングは、両麻痺の脳性麻痺児における筋力やバランス機能の改善に有用なツールであるかもしれない」と結論付けています。
脳性麻痺児は、発達障害により筋力やバランス機能といった日常生活に欠かせない機能を得られにくい場合が多いです。今回の研究だけでは結論は出せませんが、今後のリハビリテーションにおいて有用な手段となることを期待します。
執筆者
Effect of whole-body vibration on muscle strength and balance in diplegic cerebral palsy: a randomized controlled trial.
Am J Phys Med Rehabil. 2014 Feb
[PMID: 24434887]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。