インフルエンザウイルスがボツリヌス毒素のワクチンに
食中毒を起こすボツリヌス菌の毒素は非常に強力です。アメリカの研究班は、ボツリヌス毒素のワクチンとして、遺伝子を組み換えたインフルエンザウイルスを作成しました。マウスに接種したところ、致死量の毒素を与えても生存する結果が得られました。
◆インフルエンザウイルスを改造する
研究班は、
◆ボツリヌス毒素にも、インフルエンザにも耐える効果
研究班は、マウスにワクチンを接種したのち、致死量のボツリヌス毒素を与える実験と、致死量のインフルエンザウイルスを与える実験を行いました。その結果、ワクチンを接種したマウスは、ボツリヌス毒素を与えたときも、インフルエンザウイルスを与えたときも、すべて生存しました。
研究班は「この結果は、ボツリヌス症とインフルエンザの両方に対する二重の目的を持った経鼻ワクチンを開発することの実現可能性を示した」と述べています。
ボツリヌス菌は日本でもしばしば食中毒による死者を出しますが、ワクチンとして広く使われているものはありません。マウスの結果が人間にも当てはまるとは限りませんが、もし実際に予防効果があれば、衛生管理の限界を補えるかもしれません。
執筆者
Intranasal vaccination with an engineered influenza virus expressing the receptor binding subdomain of botulinum neurotoxin provides protective immunity against botulism and influenza.
Front Immunol. 2015 Apr 21
[PMID: 25954272]
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