骨髄の細胞を移植して糖尿病を改善?間葉系前駆細胞の効果とは

骨髄にある間葉系前駆細胞は、動物への移植実験で、インスリンを作るようになる結果が得られています。著者らは実際の2型糖尿病患者に移植して安全性試験を行った結果、急激な反応はなく糖尿病をやや改善する傾向が見られました。
◆MPCの細胞数を変えて、2型糖尿病患者へ静脈内注入
著者らは以下の試験を行いました。
間葉系前駆細胞(MPC) (Mesoblast社製、rexlemestrocel-L)を0.3 x 106細胞/kg(15人)、1.0 x 106細胞/kg(15人)または2.0 x 106細胞/kg(15人)あるいは偽薬(16人)を静脈内注入した効果について、用量漸増ランダム化偽薬対照試験を行った。
つまり間葉系前駆細胞(MPC)を、細胞の数を変えて2型糖尿病患者に静脈内注入で移植しました。
◆急激な副作用は見られず、HbA1c低下
著者らは以下の試験を行いました。
被験者(男性21人、女性40人)として、HbA1cのベースラインは8.3 ± 1.0% (67 ± 10.9 mmol/mol)、
BMI は 33.5 ± 5.5 kg/m2、糖尿病の罹病期 間は10.1 ± 6.0年の人々を、アメリカ18カ所で登録した。注入による急性有害事象(AE)は生じなかった。12週間の間、重篤なAE、重篤な低血糖のAEまたはAEによる被験中止は起こらなかった。ドナー特異的 な抗HLA 抗体 の産生や感作 は生じなかった。安全性の詳細は、処置した集団間で同程度であった。偽薬と比較して、rexlemestrocel-Lの単独静脈注入は治療第1週よりも後のすべての時点においてHbA1cを減らした。
つまり糖尿病を
著者らは結論として、「この短期間の試験調査は、2型糖尿病患者に最大2億4600万個のMPCを注入することの安全性と実行可能性を示している」と述べています。
MPCを移植することで、糖尿病を改善する効果が示唆されるとともに、深刻な問題が無かったという結果が得られました。このような安全性の調査は非常に大事で、今後より大きな試験で効果と安全性が確立されれば、糖尿病の新たな治療法になるかも知れません。
執筆者
Allogeneic Mesenchymal Precursor Cells in Type 2 Diabetes: A Randomized, Placebo-Controlled, Dose Escalation Safety and Tolerability Pilot Study.
Diabetes Care. 2015 Jul 7.
[PMID: 26153271] http://care.diabetesjournals.org/content/early/2015/07/01/dc14-2830.abstract
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