2015.07.24 | ニュース

大腿四頭筋の筋力が強い人は死亡率が低かった!北里大学などの研究から

日本人1,314人の観察研究

from The American journal of medicine

大腿四頭筋の筋力が強い人は死亡率が低かった!北里大学などの研究からの写真

心筋梗塞などの心血管疾患の経過を予測するには、ほかの臓器も含めた全体としての健康状態を把握することが重要と考えられます。北里大学などの研究班による追跡調査で、冠動脈疾患による入院後の大腿四頭筋の筋力と死亡率に関連が見られました。

◆冠動脈疾患による入院後の人が対象

研究班は、次の対象者を追跡調査しました。

研究対象集団は、急性冠症候群または冠動脈バイパス手術のために入院した冠動脈疾患患者で、30歳を超えた1,314人(64.7±10.6歳、1,051人が男性)から成った。

心筋梗塞や狭心症(冠動脈疾患)の治療のために入院した1,314人が対象となり、筋力の指標として、太ももの筋肉の強さを測った大腿四頭筋等尺性筋力が記録されました。

調査ののち、大腿四頭筋等尺性筋力と死亡率の関連について統計解析が行われました。

 

◆筋力と死亡率に関連あり

解析から次の結果が得られました。

6,537人年に相当する平均5.0±3.5年のフォローアップ中、全死因で118人の死亡と63人の心血管疾患による死亡があった。大腿四頭筋等尺性筋力がより高いことは、ほかの予後因子を調整したうえで、全死因死亡と心血管疾患による死亡のリスク減少と関連していた(全死因死亡について体重対大腿四頭筋等尺性筋力の10%増加に対してハザード比0.77、95%信頼区間0.67-0.89、P<0.001。心血管疾患による死亡についてハザード比0.66、95%信頼区間0.54-0.82、P<0.001)。

平均5年あまり追跡した期間中、大腿四頭筋の筋力(等尺性筋力)が強い人では、その後の死亡率が低い傾向が見られました

 

足の筋力が全体としての健康状態をよく反映していたのかもしれません。心血管疾患は全身で起こる動脈硬化を背景としているため、個別の症状や検査値にとらわれすぎることなく、バランスよく対策することが重要です。

なお、筋力測定を検査に取り込む試みをほかにも紹介しています。関心のある方はあわせてご覧ください。

「握力が強ければ強いほど死亡率が低下する?」

http://medley.life/news/item/555b15ac5dd5c704017952bd

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Quadriceps Strength as a Predictor of Mortality in Coronary Artery Disease.

Am J Med. 2015 Jul 10 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26169888]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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