2015.07.17 | ニュース

40歳未満と70歳を超えた男性で特に多い、糖尿病治療中の低血糖に注意!

日本国内大規模データベースを用いた解析から

from Medicine

40歳未満と70歳を超えた男性で特に多い、糖尿病治療中の低血糖に注意!の写真

糖尿病は血糖値が高くなる高血糖状態が続く病気ですが、治療中何らかの原因(食事や薬)で低血糖になると意識障害や昏睡が起きる場合もあり、非常に危険です。著者らは日本国内の大規模データベースを利用し、これら糖尿病患者の低血糖状態での入院や致死率等を調べました。その結果、男性で70歳を超えた高齢または40歳未満の若年であると入院リスクが高まり、高齢の場合は致死率も高い事が分かりました。

◆日本国内データベースを利用し、低血糖で入院した糖尿病患者を調査

著者らは糖尿病患者の低血糖での入院に関し、日本国内の入院患者データベースを使った研究を行いました。年齢や治療グループによる年間入院率を比較するとともに入院時での死亡の相関関係を解析し、どのようなパラメーターが死亡のリスク要因になるのか調べました。

 

◆高齢男性は低血糖になると致死率が高くなる

調査の結果、以下の事象が判明しました。

2008年7月から2013年3月までの2270万件の退院記録のうち、25,071人を対象とした。平均年齢は73.4歳であり、平均BMIは22.3kg/mであった。
40歳未満の患者と70歳を越えた患者は、入院のリスクがより高かった。入院中での致死率は3.8%であり、生存率を低くするリスク要素として男性、高齢、低い病床能力、コミュニティ・ホスピタルであること、低BMI、入院時の昏睡状態、そして高チャールソン併存疾患指数であった。

つまり25,071人の低血糖による入院患者を調べたところ、40歳未満または70歳を超えた年齢の患者は入院リスクが高く、男性で高齢、さらに入院環境などの差で生存率が変わる結果が得られました。

著者らは結論として、「死亡や医学的問題を引き起こす重篤な低血糖を防ぐ為にも、併存症を発症しているか低BMIを示す非常に高齢または若年齢の患者は特に、個々に特化した注意深い血糖値調節が重要である」と述べています。

 

高齢と男性である他にも、入院環境やBMI、入院する際の状態も相関関連がある結果となっています。このほか、入院前の治療に対する姿勢など他の要因が結果に関わっていた可能性もあります。そのため、今回導き出された要因は入院や死亡の直接の原因とは断定できず、原因を持っている人に現れやすい特徴である可能性もあります。急激な食事制限の有無や投与薬の効果等、他の因子にも着目した更なる調査が望まれます。

執筆者

高田

参考文献

Hospitalization for Hypoglycemia in Japanese Diabetic Patients: A Retrospective Study Using a National Inpatient Database, 2008-2012.

Medicine (Baltimore). 2015 Jun

 

[PMID: 26107672] http://journals.lww.com/md-journal/Fulltext/2015/06040/Hospitalization_for_Hypoglycemia_in_Japanese.20.aspx

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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