4年間でADHDがあった子どもの1/3が治り、なかった子どもの3%は新たに発症した

注意欠如・多動性障害(ADHD)は子どもに多く、症状は年齢とともに落ち着いてくることが多いと言われています。フランスの研究班が、子どものADHDのうちどの程度が長期間持続するのか、比較的情報の少ないヨーロッパの人口を対象に調べる研究を行い、調査開始時にADHDがあった子どものうち65.8%には4年後にもADHDの傾向が見られたことなどを報告しました。
◆1,012家族に電話して4年間追跡
研究班は、フランス全国の電話番号からランダムに選んだ対象者のうち、研究開始時点で6歳から12歳の子どもがいるなど条件に合った1,012家族について、電話でADHDの症状などについて尋ね、4年後に改めてADHDが持続したり新たに発症したりしているかどうかを調べました。
◆4年間で65.8%に
4年後の調査で次の結果が得られました。
フォローアップ時点で、完全なまたは閾値以下のADHDの罹患率はベースラインでADHDがあった参加者の65.8%、なかった参加者の9.8%だった。ベースラインでADHDと診断されなかった子どものうち、3.4%がフォローアップ時点でADHDと診断された。ADHDの持続および新たな発症は、ベースラインでのいくつかの臨床的特徴およびADHDの家族歴があることによって有意に予言された(すべてP<0.05)。
追跡開始時にADHDがあった子どものうち、4年後に完全なADHDまたはそれに近い状態と見られた子どもの割合は65.8%でした。開始時にADHDと診断されなかった子どものうち、新たに発症するなどして4年後にADHDと診断された割合は3.4%でした。
ADHDの治療には薬物のほかいくつかの方法が試されています。その効果で、または自然に、4年間で治まる場合は確かにあったようです。ただし、この研究は情報の多いアメリカの子どもとは別にヨーロッパの子どもの傾向を調べようとするものであり、同じように考えれば日本の子どもには多少違った傾向が見られることもありえます。
ADHDについての研究はほかにも紹介していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。
「ADHDの子どもには眼球運動に特徴があった!新たな診断技術を目指して」
http://medley.life/news/item/559a3a9da710f65301c0d42d
「ADHDに父親も関係?子どもの発達障害と母親・父親の要因」
http://medley.life/news/item/5588e7b1f034c8f500d1a000
「母親の自尊心が高いと子どものADHDの症状が少なかった」
執筆者
A 4-year follow-up of attention-deficit/hyperactivity disorder in a population sample.
J Clin Psychiatry. 2015 Jun
[PMID: 26132672]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。