2015.07.01 | ニュース

ヒトパピローマウイルスのいる中咽頭がんが20年で3倍に?

オーストラリアの陽性率の推移
from Head & neck
ヒトパピローマウイルスのいる中咽頭がんが20年で3倍に?の写真
(C) aleximagestudio - Fotolia.com

子宮頚がんの原因とも言われるヒトパピローマウイルス(HPV)は、性行為で感染することがあり、のどの奥の中咽頭に見つかることもあります。また、喫煙などと並んで中咽頭がん発症のリスクにもなると考えられています。オーストラリアで中咽頭がんの患者にHPVの検査を行い、感染の割合を調べたところ、最近20年間でHPVが見つかる割合が約20%から60%以上にまで増えていたことが報告されました。

◆中咽頭がん患者の中でHPVを調査

研究班は次の調査を行いました。

1987年から2010年の間に診断された中咽頭扁平上皮がんの患者515人について、HPVの有無を[...]判定した。

中咽頭がんと診断された人515人のそれぞれに、HPVがいるかどうかを調べ、その割合に時代とともに変化があるかを検討しました。

 

◆HPV陽性は20年で3倍増

調査から次の結果が得られました。

HPV陽性率は1987年から1995年の20.2%から、2006年から2010年には63.5%に上昇した。

中咽頭がんのある人のうち、1987年から1995年に検査を受けた人の20.2%にHPVが見つかりましたが、2006年から2010年にはその割合が63.5%に増えていました

研究班は「これらのHPV陽性中咽頭扁平上皮がんの患者は現在は比較的高齢で見つかり、そのうちおよそ1/3は一度も喫煙したことがない」と強調しています。

 

仮にHPVの感染が蔓延したことによって多くの中咽頭がん発症させていると想像するなら、感染対策が急がれるという結論になるかもしれません。

しかし、その判断までには、人口全体の中でHPV感染が広がっているのかどうか、中咽頭がんは増えているのかどうか、またそれらの変化に因果関係があると言えるかどうか、仮に中咽頭がんが増えているならそのことが死亡率などにどう影響しているか、といった点をひとつひとつ確かめなければ、適切でない施策によって多くの人に負担を強いることも起こりえます。結論がどうなるにせよ、いろいろな情報とあわせて受け取る必要がありそうです。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Rising prevalence of human papillomavirus-related oropharyngeal cancer in Australia over the last 2 decades.

Head Neck. 2014 Dec 18 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 25521312]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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