◆慢性期の脳卒中患者14人にそれぞれ2種類の訓練
研究班は、次のように、同じ人がビデオで動作観察をしたときとしなかったときを比較しました。
対象者内比較のデザインにおいて、脳卒中後の慢性期にある14人の対象者がベースラインで評価され、続いて2週間のリラクゼーション偽刺激と身体訓練(対照)を行ったうえ再度評価された。次に、対象者は2週間の動作観察トレーニングとその直後の身体訓練(介入)に参加し、最後に評価された。
慢性期の脳卒中患者14人が、動作観察なしで2週間訓練したあと、動作観察をしてからの訓練を2週間行い、それぞれの訓練の前後で運動機能を調べました。
◆動作観察をしたときの効果大
次の結果が得られました。
対照時、介入時ともに一次アウトカム[...]には有意な改善があった。一次アウトカムの改善の度合いは対照時よりも介入時のほうが大きかった[...]。
身体訓練の結果、手や腕を動かす能力に現れた効果は、動作観察をしたときのほうが大きくなっていました。
研究班は、「この研究は動作観察と身体訓練がリラクゼーション偽刺激と身体訓練よりも加える価値があることの予備的エビデンスを与える」と結論しています。
動作観察の効果が出ているようにも見えますが、その前に動作観察なしの訓練をしていたことで効果が出やすくなっていた可能性も考えられます。研究班が「予備的」と断っているとおり、動作観察の効果が確かめられたと言えるまでにはまだ確かめられるべきことが残っていますが、もし効果があるなら、比較的小さい負担で脳卒中後の人の役に立てられるかもしれません。
執筆者
Does Action Observation Training With Immediate Physical Practice Improve Hemiparetic Upper-Limb Function in Chronic Stroke?
Neurorehabil Neural Repair. 2015 Jan 22 [Epub ahead of print]
[PMID: 25613984]
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