2015.06.14 | ニュース

EDに一番効く薬はこれだ

PDE5阻害薬5種のメタアナリシス
from European urology
EDに一番効く薬はこれだの写真
(C) Sergey Khamidulin - Fotolia.com

勃起不全(ED)の治療薬には副作用もあります。主な薬はPDE5阻害薬という種類のもので、これらには血圧変動などの副作用が知られています。スイスのチューリッヒ大学などの研究班が、過去に発表された研究を検証・統合して各種のPDE5阻害薬の効果と副作用を比較し、シルデナフィルの効果が最も大きく、副作用の可能性がある出来事はタダラフィルで最も少なかったことを報告しました。

◆多数の研究の結果を統合

研究班は、過去の研究から、EDの治療として各種のPDE5阻害薬の効果または副作用を調べた研究を集め、結果を統合して解析しました。

 

◆効果はシルデナフィル、安全性はタダラフィル

統合した結果から次の比較が導かれました。

82件の試験で対象とされた計47,626人の患者に対して有効性解析を行い、72件の試験で対象とされた計20,325人の患者に対して有害事象の解析を行った。治療開始時の用量についてのトレードオフ分析で、シルデナフィル50mgが最も大きい有効性を示し、同時に全有害事象の発生率が最も高かった。タダラフィル10mgは中間程度の有効性があり、全有害事象の率は最も低かった。バルデナフィル10mgとアバナフィル100mgは全有害事象の発生率がシルデナフィル50mgと類似していたが、全体としての有効性は有意に低かった。ウデナフィル100mgは全体としての有効性でタダラフィル10mgと類似していたが、全有害事象の発生率はより高かった。

検討された薬の特徴は以下の通りでした。

  • シルデナフィル
    • 効果が最も大きい
    • 有害事象が最も多い
  • タダラフィル
    • 効果はシルデナフィルより小さい
    • 有害事象が最も少ない
  • ウデナフィル
    • 効果はシルデナフィルより小さい
    • 有害事象は比較的少ない
  • バルデナフィル
    • 効果はシルデナフィルより小さい
    • 有害事象はシルデナフィルと同程度
  • アバナフィル
    • 効果はシルデナフィルより小さい
    • 有害事象はシルデナフィルと同程度

有害事象とは、薬を使った後に起こった症状の悪化などの悪い出来事を指し、治療の副作用によるものと、もともとある病気などが原因であるものが含まれると考えられます。

研究班は、「ED患者で高い効果を最優先したい人にはシルデナフィル50mgが選ぶべき治療と思われる。忍容性に最適化したい男性はタダラフィル10mgを使うか、効果が十分でないときはウデナフィル100mgに切り替えるべきである」と結論しています。

 

どんな薬にも副作用があり、良い面と悪い面をあわせて使い方を考えることは常に必要です。ここで示されたPDE5阻害薬の特徴は、治療方針を考える上で参考になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Phosphodiesterase 5 Inhibitors for the Treatment of Erectile Dysfunction: A Trade-off Network Meta-analysis.

Eur Urol. 2015 Mar 26

 

[PMID: 25817916]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。