◆過去の論文を検証
摂動トレーニングは、立っている姿勢からさまざまな方向に力を加えることで、姿勢を元に戻す動きをよくするトレーニングです。
研究班は、論文データベースから過去の論文を検索し、運動障害などの神経症状が出ている患者を対象として、摂動トレーニングが転倒を防ぐ効果について調べたものを集めました。
◆8件の研究で転倒防止効果あり
見つかった研究を検証してデータを統合すると、次の結果が得られました。
合計404人を対象とした8件の研究が基準を満たした。摂動トレーニングを完了した参加者は、対照群と比べて1回以上の転倒を報告されることが少なく(全体としてリスク比0.71、95%信頼区間0.52-0.96、P=0.02)、転倒の数も少なかった(全体として転倒率比0.54、95%信頼区間0.34-0.85、P=0.007)。
8件の研究から、合計404人の参加者のデータを解析したところ、摂動トレーニングを受けた人の間では転倒が少なく、また試験中一度も転ばなかった人が多くなっていました。
研究班は「摂動トレーニングは中高年の成人に対して、またパーキンソン病患者に対して転倒のリスクを減らすように見える」と結論しています。
高齢者では転倒により骨折し、それがきっかけで寝たきりになってしまうことも珍しくありません。転倒を減らすことは、患者さんやそのご家族にとってはもちろんのこと、経済的にも大変重要な課題です。転倒に有効な予防法が強く望まれます。
執筆者
Does perturbation-based balance training prevent falls? Systematic review and meta-analysis of preliminary randomized controlled trials.
Phys Ther. 2015 May.
[PMID: 25524873]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。