◆変えられるリスク要因が挙がった研究を収集
研究班は、MCIから認知症への進行に影響する要因(リスク要因)として、生活習慣や治療によって変えられるものがないかに注目しました。それを調べるために、論文データベースを検索し、過去の研究のうち、変えられるリスク要因と、認知症の進行との関連を示したものを集めました。
◆糖尿病ほかのリスク要因を特定
集まった76本の論文を検証した結果、以下のことがわかりました。
糖尿病、前糖尿病状態は健忘症状のあるMCIからアルツハイマー型認知症に進行するリスクを増やしていた。1件の研究では、糖尿病を治療した場合に、治療しなかった場合に比べてリスクが減っていた。
地中海食はMCIからアルツハイマー型認知症に進行するリスクを減らしていた。
神経・精神症状があるか、血清葉酸濃度が低いと、MCIから全原因の認知症に進行するリスクが増えていた。
この結果は、MCIがある人に対して認知症の発症を予防するために、介入するべき要因の候補を示したと言えるでしょう。今後、糖尿病の治療や地中海食、葉酸の摂取などによって認知症を減らすことができるかどうかが、検証されることに期待がかかります。
現在は認知症には確立した予防法や治療法はありませんが、今後に期待したいですね。
執筆者
Modifiable predictors of dementia in mild cognitive impairment: a systematic review and meta-analysis.
Am J Psychiatry. 2015 Apr 1
[PMID: 25698435]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。