2015.05.15 | ニュース

認知症の予防には、糖尿病を治療し、それから…?

過去の研究からリスク要因を探索

from The American journal of psychiatry

認知症の予防には、糖尿病を治療し、それから…?の写真

認知症の前の段階として、軽度認知障害 (MCI) という状態があります。MCIの一部は進行して認知症になると考えられています。イギリスの研究で、MCIから認知症に進むことを予測しかつ予防する方法が検討され、過去の研究の検証から、糖尿病、地中海食、神経・精神症状、血中の葉酸(ビタミンの一種)に、MCIから認知症に進むこととの関連が指摘されました。

◆変えられるリスク要因が挙がった研究を収集

研究班は、MCIから認知症への進行に影響する要因(リスク要因)として、生活習慣や治療によって変えられるものがないかに注目しました。それを調べるために、論文データベースを検索し、過去の研究のうち、変えられるリスク要因と、認知症の進行との関連を示したものを集めました。

 

◆糖尿病ほかのリスク要因を特定

集まった76本の論文を検証した結果、以下のことがわかりました。

糖尿病、前糖尿病状態は健忘症状のあるMCIからアルツハイマー型認知症に進行するリスクを増やしていた。1件の研究では、糖尿病を治療した場合に、治療しなかった場合に比べてリスクが減っていた。

地中海食はMCIからアルツハイマー型認知症に進行するリスクを減らしていた。

神経・精神症状があるか、血清葉酸濃度が低いと、MCIから全原因の認知症に進行するリスクが増えていた。

 

この結果は、MCIがある人に対して認知症の発症を予防するために、介入するべき要因の候補を示したと言えるでしょう。今後、糖尿病の治療や地中海食、葉酸の摂取などによって認知症を減らすことができるかどうかが、検証されることに期待がかかります。

現在は認知症には確立した予防法や治療法はありませんが、今後に期待したいですね。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Modifiable predictors of dementia in mild cognitive impairment: a systematic review and meta-analysis.

Am J Psychiatry. 2015 Apr 1

[PMID: 25698435]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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