心臓機能と認知機能の関係が明らかに

これまでの横断研究により、心臓機能と脳機能(認知機能)には関連がありそうだということがわかっていました。今回の研究では、アメリカの研究チームが1,039例を対象に「心係数」という心臓機能の評価を行い、その後の追跡調査で、「心係数が低いと認知症を発症するリスクが高い」という結果を報告しました。
◆心係数と脳卒中に関連するリスク因子を調査
心臓機能の低下は、脳の老化や
まず心臓機能の評価として心係数を、脳卒中に関連する因子として年齢、血圧、降圧剤の投与の有無などを調べた。
これらの評価が、後の認知症およびアルツハイマー病の発症に関連するか、最大11年の追跡調査を実施した。
◆心係数が低いと認知機能が低くなる可能性が高い
調査の結果、以下のことがわかりました。
心係数が低い人は通常よりも、認知症の発症リスクが2.07倍高かった。
また、心血管疾患や心房細動の既往がある人を除いた場合、心係数が低い人は通常よりも認知症のリスクが2.92倍、アルツハイマー病のリスクが2.87倍高かった。
心臓機能が低いと認知機能が低くなる場合が多く、特に元々心臓機能の問題が少ない人ではそのリスクは約3倍にもなっていた、という結果です。
この理由として筆者らは、心臓から送られる血流量が少なくなることで認知機能の低下を引き起こすのではないかという仮説を提示しています。
心臓機能が悪いと活動性が低くなり、その結果認知機能が低くなるという可能性もあるかもしれません。今後は、その因果関係をさらに強く示唆する介入研究が実施されることがあるかもしれません。臨床現場の印象として、医師の方々は、心臓機能と認知機能は関連するという印象をお持ちでしょうか?
執筆者
Low cardiac index is associated with incident dementia and Alzheimer disease: the framingham heart study.
Circulation. 2015 Apr 14
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。