2015.05.11 | ニュース

放射線療法、使う? 使わない?

早期ホジキンリンパ腫に対するランダム化試験
from The New England journal of medicine
放射線療法、使う? 使わない?の写真
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ホジキンリンパ腫という血液のがんに対して、抗がん剤による化学療法に加えて、放射線療法が使われることがあります。しかし、どのような場合に放射線療法を行うべきかは完全に意見が一致していません。そこで、イギリスの研究班がある特定の状況で放射線療法を行う場合と行わない場合の結果を比較し、その状況では放射線療法を行わなくてもよいとは言えないと結論しました。

◆PETに異常がない人420人をランダム化

この研究は、早期(ステージIAまたはステージIIA)のホジキンリンパ腫に対して、標準的な化学療法であるドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジンという4種類の抗がん剤による治療 (ABVD) の後の治療方針を検討しています。

検討されたのは、ABVD治療のあと、PETという画像検査で異常が見つからない、すなわち化学療法でがんが消えたように見える人に対して、さらに効果を確実にする治療(地固め療法)を行うべきかどうかです。

このような場合には、地固め療法としての放射線療法が比較的よく行われていますが、放射線療法を行わないことが、放射線療法を行うことに比べて劣っていないかどうかを以下の方法で比較しました。

研究班は対象者を次のように選び出し、放射線療法を受けるグループと受けないグループに分けました。

新たに診断されたステージIAまたはステージIIAのホジキンリンパ腫の患者は、3サイクルのABVD治療を受け、そのあとPETを撮影された。PETの画像にホジキンリンパ腫らしい特徴が見つからなかった人は、病巣部照射野放射線療法を受けるか、それ以上の治療を受けないかにランダムに割り振られた。

つまり、この研究は

を対象とし、対象者には放射線療法を行うか行わないかがランダムに割り当てられました。

対象者420人のうち、「209人が放射線療法グループに、211人がそれ以上治療しないグループに」分かれました。

 

◆94.6% vs 90.8%

治療後のフォロー期間中に、

放射線療法グループでは病気の進行が8件あり、8人が死亡した。

治療しないグループでは病気の進行が20件あり、4人が死亡した。

治療3年後に病気の進行がないまま生存した割合は、放射線療法グループでは94.6%、治療しないグループでは90.8%だった。

という結果が得られました。

この結果は、放射線療法をしないことが放射線療法をすることに比べて劣っていないと判断できる水準に届いていませんでした。

 

研究班は、結論に添えて次のように述べています。

この研究で対象とした、ABVD治療後にPETで異常が見つからない早期ホジキンリンパ腫の患者は、地固め療法として放射線療法を受けた場合にも受けなかった場合にも、非常に良い予後を示した。

血液腫瘍を専門にされている医師の方から見ると、この結果にはどんな意味があるでしょうか?

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Results of a trial of PET-directed therapy for early-stage Hodgkin's lymphoma.

N Engl J Med. 2015 Apr 23

[PMID: 25901426]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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