◆これまでの研究をまとめなおす
研究班は、2013年末までに論文が出版された研究で、インフルエンザと思われた病気に対してオセルタミビルを使う場合と使わない場合を比較したものを一定の基準で選び出しました。
その上で、オセルタミビルがインフルエンザのすべての症状をやわらげるまでの時間と、インフルエンザによる合併症、入院、副作用に関わる結果について統計分析を行いました。
◆治療効果あり、副作用は吐き気と嘔吐
条件に合った研究から、患者4,328人分の情報が集まりました。
オセルタミビルが使われ、インフルエンザウイルスの感染が確認された患者は、すべての症状がやわらぐまでの時間が中央値97.5時間と、対照群の中央値122.7時間に比べて短くなっていました。
インフルエンザの合併症として下気道の問題が起こり、抗菌薬治療が必要になった割合は対照群の0.56倍と少なくなっていました。
入院は0.37倍に減り、副作用としては、吐き気が1.6倍、嘔吐が2.43倍に増えていました。神経または精神の異常ほか、深刻な副作用は統計的には指摘できませんでした。
オセルタミビルについてさまざまな議論が重ねられてきましたが、この研究が新しい材料になるかもしれません。ときどき話題になる「副作用で精神異常が出るか」という点については、この研究では否定的です。
オセルタミビルの使用については多方向から意見がありますが、この論文を踏まえてみなさんはどうお思いでしょうか。
執筆者
Oseltamivir treatment for influenza in adults: a meta-analysis of randomised controlled trials.
Lancet. 2015 Jan 30
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。