2015.05.02 | ニュース

息を吐くだけで胃がんを見つけられる?

成分分析で感度73%、特異度98%
from Gut
息を吐くだけで胃がんを見つけられる?の写真
(C) Firenight - Fotolia.com

胃がんは早期発見できるかどうかによって治療方針も効果も大きく違います。検査はいろいろありますが、正確さや体の負担などは様々です。より簡単に胃がんを見つけられる検査を目指して、吐く息に含まれる物質から胃がんを見分ける方法が研究されました。

◆胃がんがある人とない人の息の成分を比較

研究班は、99人の胃がん患者を含む484人から吐く息を収集して成分を分析しました。また、胃がんになる可能性が比較的大きい病変のある、高リスクの人を選び出しました。

 

◆胃がんに特徴的な物質を発見

成分分析の結果、8種類の揮発性物質が、胃がんがある人と高リスクの人の息で量が変わっているのが見つかりました。胃がんがある人とそれ以外の人を見分ける基準値を決めたところ、胃がんがある人のうち基準値以上になった人の割合(感度)は73%、胃がんがない人のうち基準値未満になった人の割合(特異度)は98%でした。

感度・特異度は検査の正確さを表し、両方が大きいほど正確な検査だと言えます。この集団(484人のうち99人が胃がん)の中では、「検査で基準値以上かどうか」と「胃がんがあるかどうか」は90%以上の人で一致したことになります。

また、胃がんがなく高リスクの人と、胃がんがなく高リスクでもない人を見分けるには感度83%、特異度60%でした。

研究班は、この新しい方法が、これまでになかった、症状のない人からがんを見つけ出せる、体に負担をかけない検査として、またがんを詳しく調べる検査として使えるかもしれないと述べています。

 

胃カメラ造影剤も使わない、血液すら取らないで「息を吐くだけ」というこの検査。実際の診断に有効かどうかはまだわかりませんが、がん検診の負担を下げ胃がんの早期発見に一役買うかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Detection of precancerous gastric lesions and gastric cancer through exhaled breath.

Gut. 2015 Apr 13

[PMID: 25869737]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。