PDE4阻害薬
ホスホジエステラーゼ4(PDE4)という酵素の働きを阻害し、乾癬を引き起こす要因のひとつとされる炎症性サイトカインの過剰な産生を抑え、炎症反応を抑制することで乾癬による皮膚症状や関節炎、ベーチェット病による口腔潰瘍などを改善する薬
PDE4阻害薬の解説
PDE4阻害薬の効果と作用機序
PDE4阻害薬の薬理作用
乾癬は慢性の炎症疾患で厚い白色(銀白色)の鱗屑を伴う紅斑が特徴で原因の詳細は解明されていないが、免疫異常であったり、乾癬になりやすい遺伝子を持った人がストレスなどにさらされることで起こると考えられている。乾癬の多くは尋常性乾癬だが、関節に炎症・こわばりなどがみられる関節症性乾癬(乾癬性関節炎)などがあらわれる場合もある。
乾癬の病態にはIL(インターロイキン)などの炎症性サイトカインと呼ばれる物質の働きが深く関わるとされている。乾癬患者の免疫細胞や表皮細胞では、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)という酵素が過剰に発現している。PDE4はcAMPという物質をAMPへ分解する酵素として働き、cAMPの分解が亢進し細胞内のcAMP濃度が低下することで免疫細胞からのIL-23、IL-17、TNF-α(腫瘍壊死因子)などの炎症性サイトカインの産生が亢進する。
本剤(アプレミラスト)はPDE4を阻害することにより、細胞内cAMP濃度を上昇させ、IL-17、TNF-α、IL-23などの炎症性サイトカインの産生を抑えることで過剰な炎症反応が抑制され、乾癬の症状を改善する効果をあらわすとされる。
なお、インターロイキンなどの炎症性サイトカインは乾癬以外の炎症性疾患の病態にも深く関わるため、本剤はベーチェット病(ベーチェット病による口腔潰瘍)などの治療に使われることもある。