認知行動療法
最終更新: 2018.03.06

認知行動療法とは?うつ病など様々なこころの病気に効果がある治療法を解説

うつ病PTSDなどの精神疾患に対する治療法の1つに認知行動療法があります。認知行動療法はうつ病PTSD心的外傷後ストレス障害)、パニック障害社交不安障害強迫性障害といった多くの精神疾患に効果があることが研究により示されており、広く使われるようになってきています。

ここでは認知行動療法の内容と日本での実践についてご紹介します。

認知行動療法の「認知」とは、ものの受け取り方や考え方のことを指します。特に強いストレスを受ける環境に置かれると、悲観的な思考パターンに陥りやすくなります。そして、問題を解決できないこころの状態に追い込まれてしまい、抑うつ感や不安感から非適応的な行動が強まり、結果として極端な考え(認知の歪み)が引き起こされてしまいます。

認知行動療法は、歪んだ考え方を特定して、その考え方を実生活の中で検証して、考え方を徐々に修正していくことを目指します。

認知行動療法では、面接で話し合ったことを日常生活の中で検証して、ものの考え方の修正を図ることが課題になります。つまり、面接の時間だけでなく日常生活も治療の場となる治療法です。

治療は次のような流れに沿って行われます。

  1. 患者が現在、直面している問題が何かを洗い出して治療方針をたてる
  2. 自動思考(※)に焦点をあて極端に偏った考え方を修正する
  3. より心の奥底にあるスキーマ(※)に焦点を当てる
  4. 治療終了

※自動思考とは、気持ちが動揺したりつらくなったりしたときなどのさまざまな状況で自動的に頭に浮かんでくる考え方のことを指します。瞬時に頭に浮かんだ考えに目を向け、それが実際どの程度現実と食い違っているかを検証して、考え方のバランスを整えていきます。

※スキーマとは、考えや行動のパターンを指します。根底にある心理的な概念(決めつけ)に焦点を当てて、認知の歪みを整えていきます。

認知行動療法は研究から効果が示されており、代表的な心理療法の1つとしてよく行われています。日本でも、施設によって行っているかどうかの違いなどがありますが、うつ病などに対して保険が適用される治療となっています。

参考文献:厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業 「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」:うつ病の認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアル