たんちょうしょうこうぐん
短腸症候群
腸の病気などにより小腸の大部分を切除したことで、栄養の吸収不良と下痢が起こる状態
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最終更新: 2022.10.17
短腸症候群の基礎知識
POINT 短腸症候群とは
短腸症候群は腸の病気などにより小腸の大部分を切除したために栄養の吸収不良と下痢が起こった状態のことです。残った小腸の長さによって症状の強さに違いが現れます。小腸を長く切除しなければならない病気としてはクローン病や腸閉塞、急性腸間膜動脈閉塞症、先天性腸疾患があり、これらの病気に対して手術を行った後には短腸症候群に注意が必要です。下痢や低栄養が主な症状で、ビタミンが不足することもあります。血液検査を行い栄養状態や身体の中のバランスの乱れの有無が確認されます。症状がひどい場合には点滴や成分栄養剤(栄養が多い)、ビタミン剤の補充などを行います。小腸の手術をした後に下痢や倦怠感、ふらつきなどの症状が見られる場合には短腸症候群が起こっているかもしれません。手術を受けた医療機関で相談してみてください。
短腸症候群について
- 腸の病気などにより小腸の大部分を切除したことで、栄養の吸収不良と下痢が起こる状態
症状 の強さは、小腸のどの部位をどのくらいの長さを切除したかによって異なる
- 吸収不良症候群の一つ
- 小腸切除の原因としては、クローン病、腸閉塞、急性腸間膜動脈閉塞症、
先天性 腸疾患、小腸がん 、腸結核がある
短腸症候群の症状
- 下痢
- 低栄養
ビタミン 欠乏症- 小腸を切除する手術の直後から下痢が生じ、低栄養、ビタミン欠乏症を引き起こす
短腸症候群の検査・診断
- 血液検査
電解質 (ミネラル ):下痢による電解質異常が起こりやすいビタミン :特にビタミンB12は不足しやすい- 微量元素:鉄や
亜鉛 、マンガンなど
短腸症候群の治療法
- 完全静脈栄養
- 手術後は点滴で栄養と水分を補給する
- 1ヶ月から数ヶ月かけて短くなった腸に身体が適応できれば、口から食事を摂れるようになる
- 残っている空腸が1mに満たないなど
症状 が強い場合は、生涯点滴からの栄養摂取(完全静脈栄養)が必要となる人もいる - 在宅静脈栄養という形で、自宅で静脈栄養を続けることが可能
- 成分栄養剤(経腸栄養剤)
- エレンタールがよく使われる
- 消化を必要としないため小腸の機能が落ちていても栄養を吸収できる
- 食事療法
- 回数を分けて、少しずつ食事を摂取する
ビタミン B12の補充- 不足していれば1-3ヶ月に1回注射で補充する
- 薬物治療
- 静脈栄養をそれ以上減らすことができない状態の人では、テデュグルチド(商品名:レベスティブ)を投与することがある
- 腸管からの栄養吸収能を改善する効果がある
- 小腸移植
- 何らかの理由で完全静脈栄養を続けることが出来ない場合に検討される
- 小腸は他の臓器に比べると移植が難しい