そけいへるにあ
鼠径ヘルニア(総論)
腹部の臓器(主に腸)が、太ももの付け根の内側から、皮膚のすぐ裏側まで出てきた状態。飛び出し方により分類される
5人の医師がチェック 108回の改訂 最終更新: 2024.08.18

鼠径ヘルニア(脱腸)の検査について:診察や画像検査など

鼠径ヘルニアが疑われる人には診察や検査が行われます。お医者さんが患者さんの症状を詳しく聞き取る問診と、超音波検査に代表される画像検査がとくに重要です。これらの検査から症状の原因が鼠径ヘルニアかどうかや、その程度がわかります。

1. 問診

問診は対話形式による診察です。患者さんがお医者さんに症状を伝え、お医者さんが質問をします。問診では症状の他に身体の状況や内服している薬についての質問もあります。

【鼠径ヘルニアが疑われる人への問診例】

  • どんな症状があるのか
  • 症状はいつからあるのか
  • 症状に変化はあるのか
  • 持病や過去にかかった病気はあるか
  • 内服中の薬はあるか

鼠径ヘルニアは足の付け根の膨らみから見つかることが多いです。いつ膨らみに気付いたかや膨らみの変化などが重要な情報になるので伝えてください。また、痛みなどを伴うこともあるので、気になる症状は漏らさず伝えてください。また、精巣や前立腺の手術をした人に鼠径ヘルニアが多いことも知られています。治療済みであっても過去の病気についても話してください。

2. 身体診察

身体診察とは、お医者さんが患者さんの身体をくまなく調べる診察のことです。具体的には、身体を触ったり、聴診器を使って身体の中の音を聞いたりします。身体診察を行うことで、症状の原因が鼠径ヘルニアかどうかの判断がつきやすくなります。

3. 画像検査:超音波検査・CT検査など

検査機器を使うことで身体の中を画像化することができます。これらの検査を画像検査といいます。画像検査にはいくつ種類があるのですが、鼠径ヘルニアが疑われる人には超音波検査とCT検査がよく行われます。

超音波検査

超音波は人の耳では聞き取れない高い音です。超音波を利用すると、身体の断面を画像化できます。放射線を使わないので、被ばくの心配はありません。超音波検査ではヘルニアを起こしているお腹の臓器の内容について詳しく調べることができます。わざわざ検査室に移動しなくても行えるので、身体診察と合わせて行われることがあります。

CT検査

CT検査はレントゲンX線)を使った検査です。超音波検査と同じく身体の断面を画像化できます。超音波検査より鮮明な画像を得られるので、超音波検査で十分調べられないときに行われます。 また、造影剤という薬剤を注射してCT検査をすると、臓器に血液が通っているかどうかの判断がつきやすくなります。鼠径ヘルニアの嵌頓が疑われる人では腸の血流の状態を見極めるために、造影CT検査が必要になります。

参考文献

・日本ヘルニア学会 ガイドライン委員会/編, 「鼠径部ヘルニア 診療ガイドライン2024」, 金原出版