さしんていけいせいしょうこうぐん
左心低形成症候群
血液の流れにおいて左心房から大動脈までの「左心系」のどこかが生まれつき発達しきれていないため、機能が低下している病気
5人の医師がチェック 42回の改訂 最終更新: 2019.10.07

左心低形成症候群の基礎知識

POINT 左心低形成症候群とは

心臓の中でも左心房や左心室といった全身に血液を送るのに必要な部分を左心系と言います。左心低形成症候群はその左心系が生まれつき不完全な状態である病気です。左心低形成症候群の主な症状はチアノーゼ・呼吸困難・頻脈・哺乳不良・発育不良などになります。  症状や身体診察に加えて、画像検査心臓エコー検査・心臓カテーテル検査などで診断します。根治するための治療には手術を行いますが、状態を安定させるために薬物治療(プロスタグランジン製剤)を行います。左心低形成症候群が心配な人や治療したい人は、小児科・小児外科・循環器内科・心臓血管外科を受診して下さい。

左心低形成症候群について

  • 血液の流れにおいて左心房から大動脈までの「左心系」のどこかが、生まれつき小さく機能も低下している病気
    • 左心系とは具体的には左心房→左心室→上行大動脈→大動脈弓を指す
    • 先天的に小さい(狭い)場所があると、全身に血液を十分に送れないため治療が必要
  • 右心系から左心系に血液を流すため、動脈管が開存したままである
    • 通常動脈管は胎児のときにのみ存在し、生まれて肺呼吸を始めると動脈管は閉鎖する
  • 難病に指定されおり、申請を行えば症状の進行具合によって医療費の補助を受けることができる

左心低形成症候群の症状

  • 体全体に十分な酸素が回らなかったり、心臓に負担がかかり心不全が起こる
    • チアノーゼ
    • 呼吸困難
    • 頻脈
    • 哺乳不良
    • 発育不良   
    • 四肢の冷たさ  など

左心低形成症候群の検査・診断

  • 身体所見
    • 視診:チアノーゼ、頻呼吸、頻脈などの有無
    • 聴診:Ⅱ音亢進、Ⅲ音聴取など
  • 画像検査
    • 心臓超音波検査
    • 胸部レントゲン検査
    • 心電図検査
    • 心臓カテーテル検査
    • CT検査
    • MRI検査
  • 全員状態を把握する検査
    • 血液検査

左心低形成症候群の治療法

  • プロスタグランジン製剤を使用して動脈管の開存を維持する
  • 手術による治療が基本であるが、左心系の機能の状態や合併する他の先天性心疾患によってさまざまな手術を組み合わせて行う
    • 両側肺動脈絞扼術:生後早い時期に行う 
      • 肺動脈を縛って狭くすることで肺への血流を減らし、動脈管を通して全身にいく血流を増やす手術 
    • ノーウッド手術:
      • 肺動脈の根元を大動脈に繋げることで右心室からの血液を全身に流す
      • 大動脈の一部や右心室と肺動脈を繋げることで肺への血流を確保する
    • グレン手術
      • 上大静脈からの血流を肺動脈に繋げる手術
    • フォンタン手術
      • 下大静脈からの血流を肺動脈に繋げる手術
  • 最終的な治療法であるフォンタン手術を行えるのは5-7割程度の子どもと推測されている

左心低形成症候群が含まれる病気

左心低形成症候群のタグ

左心低形成症候群に関わるからだの部位