ボツリヌス食中毒の基礎知識
POINT ボツリヌス食中毒とは
ボツリヌス菌が起こす食中毒です。ボツリヌス菌の感染自体の影響よりも、ボツリヌス菌が作る毒素による影響が問題となります。ボツリヌス毒素には神経の伝達に重要なアセチルコリンを抑えてしまう作用があるので、筋肉が麻痺してしまうことがあるので注意が必要です。主な症状は筋力の低下・めまい・頭痛・視力の低下・飲み込みづらさ・呼吸のしづらさなどがあり、重症になると呼吸ができなくなってしまい亡くなります。 現れている症状と症状が出るまでの生活の様子から診断します。呼吸ができているのかどうかが非常に重要で、呼吸ができないのであれば人工呼吸器管理を開始します。また、抗毒素血清を使用してボツリヌス毒素の作用を和らげるような治療を行います。ボツリヌス食中毒が心配な人や治療したい人は、神経内科や感染症内科を受診して下さい。
ボツリヌス食中毒について
- ボツリヌス菌が作るボツリヌス毒素による中毒
- ボツリヌス毒素が
神経伝達物質 であるアセチルコリン という物質が神経から放出される量を抑えてしまう- 筋肉が
麻痺 してしまい呼吸をする筋肉が麻痺する- 筋肉が麻痺する
- まれではあるが呼吸が止まる
- 筋肉が
- ビンや包装された保存食品などの酸素がない状態で保管されている食品で菌が繁殖することが多い
- 肉やソーセージなどによる食中毒が起こりやすい
- 特に1歳以下の子どもでは、はちみつに入っているボツリヌス菌による感染も起こるので注意が必要である
- 加熱することで毒素は毒性を失う
ボツリヌス食中毒の症状
- 毒素を摂取してから8-24時間後に
発症 する - 主な
症状 - 全身の違和感や筋力の低下
- めまい、頭痛
- 視力の低下、物が二重に見える(
複視 ) - 飲み込みづらさ
- 呼吸のしづらさ など
- 重症例では呼吸が停止して死亡に至る
ボツリヌス食中毒の検査・診断
症状 と症状が出るまでの生活の様子から診断する
ボツリヌス食中毒の治療法
- 呼吸困難などがあれば人工呼吸器などを用いた
対症療法 を行う - 早期に抗毒素血清を投与する
- 乾燥ボツリヌスウマ抗毒素を使用
ボツリヌス食中毒の経過と病院探しのポイント
ボツリヌス食中毒が心配な方
ボツリヌス食中毒が発生する状況は特徴的です。真空パックや瓶詰め食品のような、密封状態の食品で食中毒に至ることが多いです。
症状は通常の食中毒とかなり異なり、神経が麻痺するために力が入りづらい、ものが飲み込みづらいといった症状が出現します。もしこのような症状が出現し、また同じ食べ物を食べた方で同様の症状が見られているようであれば、ボツリヌス食中毒の可能性があります。
症状のみからは、食中毒というよりも神経の病気を疑うことの方が多いでしょう。上記のような症状が疑わしければ、まずはお近くの内科(や小児科)のクリニックを受診して判断を仰ぐことをお勧めします。もし神経疾患ではなく実際にボツリヌス食中毒だった場合には、適切な治療を受けられないと命に関わる病気であるため、クリニックから総合病院の神経内科や感染症科などに紹介を受けて、そちらで入院の上で治療を行うことになるでしょう。
ボツリヌス食中毒でお困りの方
ボツリヌス食中毒は、致死率が高い疾患です。しかし診断がつき次第その場で治療が開始されますし、治療の方法にも選択肢が少ないため、どこでどのような治療を受けるか迷う余地は少ない病気でしょう。クリニックや小さな病院では対応が困難なため、そのような病院で診断がついた場合には地域の中核病院を紹介してもらう流れになるでしょう。
麻痺がどこまで進行するかによりますが、重症の場合には自力で呼吸ができなくなるため、人工呼吸器が必要となることがあります。