ぺすと
ペスト
ペスト菌による感染症。重症化しやすく致死率は高いが、1926年以降、日本国内での発生は報告されていない
4人の医師がチェック 67回の改訂 最終更新: 2017.12.06

ペストの基礎知識

POINT ペストとは

ペスト菌に感染して起こる病気で、発症の仕方によって腺ペスト・肺ペスト・敗血症ペストに分けられます。多くの場合はペスト菌を持っているノミやネズミに噛まれることで人間に感染がうつりますが、肺にペスト菌が感染している状態(肺ペスト)では人の唾液や痰を介して人間同士で感染します。症状はペストの発症の仕方によって異なりますが、発熱・悪寒・頭痛・倦怠感・リンパ節の腫れ・悪心・嘔吐・腹痛・下痢・呼吸困難感などがあります。 細菌検査や血液検査を用いて診断します。抗菌薬をを用いて治療しますが、治療を行っても10-30%と高い死亡率があります。そのためペストの流行域に行く人は死んだ動物と接触しないようにしたり虫除けスプレーを用いたりするようにして下さい。ペストが心配な人や治療したい人は、感染症内科を受診して下さい。

ペストについて

  • ペスト菌による感染症
  • 主な原因
    • ペスト菌をもっているノミに刺される事で感染する
    • ペスト菌は、ネズミやリスなどの齧歯類やネコなどが保有している
    • 感染している動物の死体に触れることで感染することもある
  • 頻度
    • 1926年以降、日本での発生はない
    • 北米では毎年10人程度の発症者がいる
  • 症状によって分類される
    • 腺ペスト:最も一般的で多いタイプ(80-90%)。発症してから2-3日で死亡する
    • 敗血症ペスト:腺ペストが進行したり、血液中にペスト菌が侵入したりして起こる感染症。発症してから2-3日で死亡する
    • 肺ペスト:まれであるが非常に危険な感染症。発症してから1日以内に死亡した報告があるくらい進行が早い
  • その他病気の特徴、知識
    • 14世紀にヨーロッパで流行し、人口の3分の1から半数程度が死亡したとされている

ペストの症状

  • 感染してから症状が出現するまでの潜伏期間は2-8日程度
  • 症状
    • 腺ペスト
      リンパ節の腫れ、痛み
    • 肺ペスト
      肺炎の症状が出る
      ・呼吸困難、咳、血痰 など
      ・菌が肺に感染すると、ヒトからヒトに感染するようになる
    • 敗血症ペスト
      ・全身性の症状が出る
      ・発熱、だるさ、嘔吐、ふるえ など

ペストの検査・診断

  • 国内での発生は近年報告されていないため、海外渡航歴が診断の上で重要となる
  • 診断に役立つ検査
    • 細菌検査:血液や痰の中に、ペスト菌がいることを確認する
    • 抗体検査:採血を行い、ペスト菌に対する抗体を確認する
    • PCR法:抗体検査とはまた別の方法で、採血によって菌を検出する

ペストの治療法

  • 主な治療法
    • 抗菌薬の使用
      ・スプレプトマイシン
      ・テトラサイクリン
      ・ニューキノロン
      ・ゲンタマイシン
       など
  • 想定される疾患の経過や長期的な視点での関わり方
    • 未治療だと死亡率は6割を上回るとされている
    • 発病してから直ぐに(8〜24時間以内)に治療を行うと、経過は良い
      ・治療を受けた例では、死亡率が10-30%程度とする報告あり
  • ペスト患者と接触した人は予防を行う
    • 適切な抗菌薬(テトラサイクリン系抗菌薬やST合剤)を飲む
  • ペスト患者と接触する可能性のある人は予防接種(ワクチン)を行う

ペストの経過と病院探しのポイント

ペストが心配な方

ペストでは発熱をはじめとする様々な症状が見られます。国内で感染することはありませんが、米国をはじめとし、中南米やアフリカ、アジア諸国など広い地域で感染のリスクが有ります。

ご自身がペストでないかと心配になった時には、もしお近くに感染症科のある病院や、感染症専門医のいる病院があるのであれば、そのような病院を受診されるのが適切でしょう。ペストそのものが国内では珍しいこともあり、慣れている医師でないと診断をつけることが困難です。受診の際には、いつからいつまでどこに旅行をしていたかを医師に伝えてください。

特殊な検査を行わないとペストの診断はつかないため、大学病院などを除けば基本的には血液検査を病院外の検査センターに送って、結果が返送されてくるのを待つということになります。

ペストに関連する診療科の病院・クリニックを探す

ペストでお困りの方

ペストは国内では見られない疾患であり、正しく診断をつけることがまず困難を伴います。早期に診断がつけば、抗生物質による治療が行われます。

重症化した場合には、集中治療室で人工呼吸器や様々な点滴薬を使用しながら、できる限りの治療を行います。医療機関によって治療可能な水準が異なるため、中小規模の病院であれば、診断がペストだと判明した時点で(またはその疑いが生じた時点で)大病院へ転院の上で治療を行う流れが多いでしょう。

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