しゃるこーまりーとぅーすびょう
シャルコー・マリー・トゥース病
末梢神経の異常により手足の感覚と運動が障害される、遺伝性の神経の病気
7人の医師がチェック 51回の改訂 最終更新: 2017.07.21

Beta シャルコー・マリー・トゥース病のQ&A

    シャルコーマリートゥース病とはどのような病気ですか。

    下肢(特に足など遠位部)を中心に、筋肉がやせたり、感覚が障害されてしまう、遺伝性の病気です。こういった障害が起きる原因はなんらかの原因で末梢神経がダメージを受けるからです。

    シャルコーマリートゥース病の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    原因となる遺伝子はわかっているだけでも40以上にのぼります。大きくは、脱髄型と軸索型に分けることが出来ます。末梢神経の中でもどこがやられるか、によってこの2つに分類されています。

    シャルコーマリートゥース病は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    欧米では2500人に1人の割合でみられるとされています。日本の調査では人口10万人あたりに10人程度と、それに比べるとかなり頻度が小さいように思われていましたが、実際はもっといると思われます。遺伝性の末梢神経障害の中では最多の病気です。

    シャルコーマリートゥース病は、遺伝する病気ですか?

    この病気は遺伝性の末梢神経障害です。遺伝形式はこの病気の中でも様々で、常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X連鎖遺伝を示しますが、この中では常染色体優性遺伝のものが一番多いようです。

    シャルコーマリートゥース病は、どんな症状で発症するのですか?

    足から症状が始まることが多いです。筋力の低下や筋肉のやせ、また感覚障害として感覚の鈍さやビリビリしたしびれ感がみられることがあります。最初の症状としては歩く際につまずきやすくなった、スリッパが脱げやすくなった、といったものでしょう。下腿の筋肉のやせが特徴的で、「逆シャンペンボトル型」と呼ばれます。

    シャルコーマリートゥース病の、その他の典型的な症状について教えて下さい。

    発症してから長期間経過すると、凹足(時に扁平足)、ハンマー趾(足の指の変形)、足関節の変形などの症状が出てきます。痛みはかつて少ないと思われていましたが、実際は日常生活に制限を与えるほどの痛みがみられることが多いことがわかっています。

    シャルコーマリートゥース病が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    さらに進行すると、側弯など、さらに形態的な変化が目立つようになってきます。歩行時には、筋力低下による鶏歩や動揺性歩行がみられます。

    シャルコーマリートゥース病は、どのように診断するのですか?

    まず診察をして、どこが障害されているか、この病気らしいところはあるかを詳しく調べます。その上で、末梢神経障害のパターンを調べるために神経伝導検査を行います。皮膚から神経を電気で刺激して、神経の反応を見るものです。血液検査や髄液検査、画像検査でははっきりした異常はみられません。

    シャルコーマリートゥース病の確定診断法について教えて下さい。

    知られている原因遺伝子に変異がないかを調べます。最も多いものはPMP22遺伝子の重複と呼ばれるもので、FISH法という検査で調べます。これは保険収載されている検査です。シャルコーマリートゥース病が疑わしいにも関わらずこの変異がなかった場合には、他の遺伝子をまとめて検査することがあります。

    シャルコーマリートゥース病のその他の検査について教えて下さい。

    以前よりは重要度が落ちているかもしれませんが、末梢神経生検は現在でも非常に重要な検査だと考えられます。末梢の神経(腓腹神経が使われることが多いです)を実際にとってきて、顕微鏡で観察します。

    シャルコーマリートゥース病と診断が紛らわしい病気はありますか?

    最も間違われやすいのが慢性炎症性脱髄性多発神経炎 (CIDP)という病気です。症状は似ていることが多いので、区別することが難しいこともあります。症状の経過や治療反応性(CIDPには免疫グロブリン大量療法という治療法があるのですが、シャルコーマリートゥース病には効果がない)から区別することが多いです。

    シャルコーマリートゥース病の治療法について教えて下さい。

    シャルコーマリートゥース病を根本的に治す有効な方法は現段階ではありません。それぞれの症状に応じて対処していきます。関節の変形に対しては整形外科的に対処していきます。また、リハビリも非常に重要です。足が垂れてしまう場合には短下肢装具など装具を使うこともあります。

    シャルコーマリートゥース病の治療の展望について教えて下さい。

    下肢装着型補助ロボット(HAL)の医師主導治験が進行中です。ロボット工学もこの病気の治療に取り入れられようとしています。 治療薬としては、アスコルビン酸の効果があるかもしれないと思われていたのですが、現在のところ有効性は証明されていません。その他神経栄養因子やPMP22に注目した治療法が現在開発中です。

    シャルコーマリートゥース病の患者が気をつけるべきことはありますか。

    シャルコーマリートゥース病の患者さんは、末梢神経障害を助長しうる薬剤を認識するべきです。具体的には、抗癌剤(ビンクリスチンやシスプラチン、パクリタキセルなど)、HIV治療薬等が挙げられます。これらの薬剤の性格上、投与がさけられないこともあるかと思いますが、その場合には症状が悪化したり、新たな症状があらわれてくることを認識したほうがよいでしょう。