しゃるこーまりーとぅーすびょう
シャルコー・マリー・トゥース病
末梢神経の異常により手足の感覚と運動が障害される、遺伝性の神経の病気
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最終更新: 2022.02.28
シャルコー・マリー・トゥース病の基礎知識
POINT シャルコー・マリー・トゥース病とは
末梢神経の異常により手足の感覚と運動が障害される病気です。遺伝することが知られており、常染色体優性遺伝という形式で遺伝します。診断確定のために神経伝導検査・遺伝子検査・神経生検などが行われます。現在のところ確立された治療は存在しませんが、薬物療法やリハビリテーションなどが症状緩和のために行われます。血縁者にシャルコーマリートゥース病がいる人が足の筋肉が落ちて歩きづらい・足が痩せてきたなどの症状を感じた場合は脳神経内科で相談してください。
シャルコー・マリー・トゥース病について
- 末梢神経の異常により手足の感覚と運動が障害される、遺伝性の神経の病気
- 遺伝子異常であることが明らかになっている
常染色体優性遺伝 のタイプや常染色体劣性遺伝 のタイプなど遺伝の形式は1つではない
- 欧米では1万人に3−5人程度の頻度と言われている(日本での頻度は不明である)
- 遺伝子異常であることが明らかになっている
- 10-20代での
発症 が多いが、子どものころや大人になってからの発症もある
シャルコー・マリー・トゥース病の症状
- 両側の腕(手)や脚の筋力低下と感覚障害が起こる
- 特に膝下から足の筋力の低下が起こり、筋肉が痩せていく(「逆シャンパンボトル型」の筋
萎縮 と呼ばれる) - 両足の土踏まずが深く大きなアーチとなる(凹足(おうそく)と呼ばれる)
- 感覚障害は手と足に起こることが多いが自分では気づきにくい
- まれに手足の痛みとして感じる場合もある
- 特に膝下から足の筋力の低下が起こり、筋肉が痩せていく(「逆シャンパンボトル型」の筋
症状 が進行すると、歩いたり立っているのにも支えが必要な上体になる- 太ももや肩などの腕や脚の根元部分の筋力が低下する
排尿障害 などの自律神経 障害はまれであるが起こることもある
シャルコー・マリー・トゥース病の検査・診断
神経伝導検査 - 神経の状態を調べる検査
- 重要であり、基本的な検査の一つ
- 遺伝子検査
- 診断の確定に重要
- 神経
生検 - 足にある神経の一部を小さく切り取り、顕微鏡で観察する検査
MRI などの画像検査では異常がわからない場合が多い- 家族歴やCIDPなどの似たような
症状 を起こしうる他の病気でないことを確認することも重要
シャルコー・マリー・トゥース病の治療法
- 確立された根本治療は存在しないが、
症状 に併せて内服治療やリハビリテーションを行うのが一般的 - 内服治療
- 末梢神経障害があればアスコルビン酸や
ビタミン 剤の使用を検討 - 神経障害性
疼痛 があればリリカや抗けいれん薬を使用を検討する
- 末梢神経障害があればアスコルビン酸や
- リハビリテーション
- 筋力を維持するためや足の変形を防ぐために積極的な運動やストレッチが推奨される
- ただし、使いすぎると逆に症状が悪化する可能性があり、あくまで筋力の維持のためのリハビリとなる
- 足関節の変形などがあれば、足底板やサポーターなど装具をつけて歩行をサポートする
- 足の変形などが強ければ、アキレス腱の手術による矯正を検討することもある
シャルコー・マリー・トゥース病の経過と病院探しのポイント
シャルコー・マリー・トゥース病が心配な方
シャルコーマリートゥース病は遺伝性の病気です。両親にシャルコーマリートゥース病の人がいなくてもご自身に発症することはありますが、全体的な傾向として遺伝することが多いです。遺伝の中では「常染色体優性遺伝」と呼ばれる遺伝の仕方が主で、両親の一方が病気の場合、子に遺伝する確率は半々(50%)です。
多くの場合は足の筋力が落ちて歩きづらくなったり、足が痩せてきたりといったことで気が付かれます。症状だけからこの病気だと診断することは難しいのですが、血縁者にシャルコーマリートゥース病の方がいて、かつ足の筋力低下があるような場合には考えられる病気の一つです。
受診の際には、神経内科が専門の診療科となります。大病院を紹介状なしで受診すると受診料がかかってしまいますが、かかりつけの医師に紹介してもらったり、あるいは神経内科のクリニックをお近くで探して受診するといった手もあります。シャルコーマリートゥース病の場合には、時間がたつに連れて症状は徐々に進行しますので、もし気になるようなことがあれば、一度早めに受診をして診察を受けられることをお勧めします。