だいちょうけいしつ
大腸憩室
大腸の壁の内側の層が外側に向かって袋状に飛び出したもの。内側から見ると消化管の壁に洞穴が存在するように見える
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最終更新: 2023.07.25
大腸憩室の基礎知識
POINT 大腸憩室とは
大腸憩室は大腸の壁の内側の層が外側に向かって袋状に飛び出した状態を指します。内側から見ると消化管に洞穴が存在するように見えます。通常は症状を自覚することはありませんが、憩室に炎症を起こした場合(憩室炎)には発熱・腹痛・下血などが起こります。 症状や身体診察に加えて、腹部CT検査や内視鏡検査などで診断されます。基本的に治療を必要としないことが多いですが、憩室炎が起こった場合は抗菌薬を用いて治療します。憩室から出血した際にも治療が必要です。大腸憩室が心配な人は、消化器内科・消化器外科・内視鏡科を受診して下さい。
大腸憩室について
- 大腸の壁の一部が外側に向かって袋状にと飛び出したもの
- 大腸の壁の内側の粘膜と粘膜筋板という層が外側に飛び出すことで起こる
- 内側から見ると
消化管 壁に洞穴が存在するように見える
- 主な原因
- 大腸の中の圧力の上昇
- 加齢により腸の壁が弱くもろくなる
- 右側の大腸(上行結腸)やS状結腸に起こることが多い
- 憩室に感染が起こると憩室炎を起こす
大腸憩室の症状
- 大腸憩室が存在するだけでは症状がない
- 憩室炎を起こすと以下の様な症状が出る
- 腹痛
- 発熱
下血 穿孔 うみ の溜まり(膿瘍 )
- 憩室出血を起こすと以下の様な症状が出る
- 下血
- 腹痛(ただし、痛み無く下血だけが出ることが多い)
大腸憩室の検査・診断
- 画像検査
腹部超音波検査 腹部CT検査 :最も一般的な検査- 注腸
造影 X線検査
下部消化管内視鏡検査 (大腸カメラ )- 診断確定に有効
- 憩室炎で腹部の症状が起こったときに、検査をして初めて憩室があることが発覚することも多い
大腸憩室の治療法
- 症状がなければ治療の必要はない
- 憩室炎が起きた場合は絶食と
抗菌薬 の点滴を行う - 大量の出血や
穿孔 などがあれば手術をして治療を行う
大腸憩室の経過と病院探しのポイント
大腸憩室でお困りの方
大腸憩室は、腹痛や血便などの症状があって発覚することもあるのですが、特に症状が出ないままCT検査で偶然見つかるケースも多いです。そのままにしていても変化がほとんど生じないため、症状がなければ治療は不要です。
大腸憩室のある方では、憩室から出血したり、憩室内で細菌が炎症を起こして憩室炎の原因となったりすることがまれにあります。症状が強い場合には手術を行いますが、その際には消化器外科、食道外科、胸部外科など、病院ごとに担当となる科は様々です。普段からかかりつけの医師に相談をして、入院の時期や入院先を一緒にお決めになることをお勧めします。