くもまくのうほう
くも膜のう胞
脳の表面を覆うくも膜の一部が袋状になった状態のこと。特に症状はないことが多い
8人の医師がチェック 101回の改訂 最終更新: 2018.08.06

くも膜のう胞の基礎知識

POINT くも膜のう胞とは

脳の表面を覆う膜をくも膜といいます。くも膜の一部が袋状になったものをくも膜のう胞と言います。ほとんどは生まれつきできたものですが、一部は頭の怪我の影響でできることもあります。無症状なことが多く、ほとんどの場合は治療の必要がありません。できた場所や大きさによってはの頭痛や嘔吐、けいれんなどの原因になることがあり、症状を伴う場合は手術でくも膜のう胞を摘出します。くも膜のう胞は基本的には症状がないので、頭のCT検査やMRI検査で偶然指摘されることが多いです。もし指摘された場合は脳神経外科を受診してその後の対応について相談してください。

くも膜のう胞について

  • 脳の表面を覆うくも膜の一部が袋状になった状態のこと
  • 多くが生まれつきのものである
    • まれに外傷や出血後にできることがある
  • 特に症状はないことが多く、治療も必要としない
  • 罹患率は0.1-0.3%
    • 男性に多い
  • 頭部CTMRI検査をした時に、たまたま発見される事が多い
  • シルビウス裂、側頭葉周囲に発生することが最も多い

くも膜のう胞の症状

  • 症状が出ない事が大半
  • 症状がある場合:発生する場所、大きさによって症状が異なる
    • 頭痛
    • けいれん発作
    • 嘔吐

くも膜のう胞の検査・診断

  • 画像検査:のう胞の大きさや位置を調べる
    • 頭部CT検査
    • 頭部MRI検査
  • のう胞とともに脳腫瘍が存在する場合があり、その場合は脳腫瘍についての検査(造影MRI検査など)を追加で行う

くも膜のう胞の治療法

  • 症状が出ていない場合は特に検査や治療は必要ない
  • 症状があり、治療が必要な場合
    • 開窓術、被膜切除術:のう胞の膜の一部を切り取る
    • のう胞-腹腔短絡術:袋の中と腹腔をつなぎ、袋が膨らまないようにする
  • 打撲や衝突など、頭への衝撃をきっかけとしてのう胞から出血が起こり、急性硬膜下血腫を引き起こす場合もある
    • 頭の打撲で頭痛、嘔吐、意識障害が出た場合、硬膜下血腫の可能性があるためすぐに病院を受診する
    • ボクシング、ラグビーなど、頭部の打撲が起こりやすい競技は極力避ける

くも膜のう胞の経過と病院探しのポイント

くも膜のう胞が心配な方

くも膜のう胞は基本的に症状がなく、頭のCTやMRIでたまたま発見されることが多いです。たまたまくも膜のう胞を指摘された場合や疑われた場合は、脳神経外科のクリニック、病院にCTやMRIの画像を持って行って受診すると良いでしょう。

くも膜のう胞の診断は頭部CT、MRIで行われます。ほとんどの場合、CTかMRIで十分診断ができて、そのまま様子観察になります。しかし脳腫瘍にのう胞が伴うこともあり、見分けるのが難しい場合は造影MRIを撮ったりします。それでも判断に迷う場合は手術や生検で組織を採取して、病理検査が行われることもあります。

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くも膜のう胞でお困りの方

くも膜のう胞はほとんどの場合症状がないため、特に治療は必要ありません。症状が出ている場合、開頭の手術や内視鏡を使って被膜(覆っている膜)の一部や全てを切除したり、のう胞-腹腔短絡術が行われます。場所や症状によって望ましい治療法は異なりますし、それぞれの治療法にメリット、デメリットがあります。

開頭の手術やのう胞-腹腔短絡術は脳外科手術の中では一般的なものであるため、手術を行っている病院の脳神経外科であれば、必ずしも大学病院などの専門施設である必要はありません。内視鏡はできる病院、医師が限られます。

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