こうじょうせんずいようがん
甲状腺髄様がん
甲状腺がんの一種。約3割は遺伝により発症することが分かっている。
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最終更新: 2017.11.30
甲状腺髄様がんの基礎知識
POINT 甲状腺髄様がんとは
甲状腺がんの1.5%を占め、遺伝が原因となることがあります。遺伝性では副腎や副甲状腺にも腫瘍を認めることがあります。症状は甲状腺のしこりが最も多く、がんが進行すると、声帯を動かす神経が麻痺して声がれがでたり、飲み込みにくさなどの症状がでます。診断は頸部超音波検査や頸部CT検査を行い、腫瘍に針を刺して細胞を調べる検査を行います。その他に、腫瘍マーカーの検査や希望に応じて遺伝子検査を行うことがあります。治療は進行度に応じて手術をしますが、遺伝性の場合は甲状腺を全て摘出します。肺や肝転移を起こしますが、手術後の10年生存率は60〜80%です。甲状腺のしこりを自覚し、家族に甲状腺髄様がんがいる場合は、超音波検査などで調べてみてもいいかもしれません。一般内科、耳鼻咽喉科や甲状腺外科などに受診しましょう。
甲状腺髄様がんについて
甲状腺髄様がんの症状
がん の早期は無症状であることが多い- 健康診断などで偶然見つかることもある
- がんが大きくなると、
甲状腺 のしこりとして触れる- 首の
リンパ節 に転移 すると、首にしこりを触れることがある
- 首の
- がんが進行すると声がれや、飲み込みづらさが出ることがある
- 声帯を動かす神経が
麻痺 して声がれが起こる - 声帯が麻痺すると、むせやすくなり、飲み込みにくさが出る
- がんが大きくなると、のどの圧迫感や飲み込みにくさが出ることがある
- 声帯を動かす神経が
甲状腺髄様がんの検査・診断
頸部超音波検査 (エコー 検査)喉頭ファイバー スコープ検査- 声がれがある場合には、声帯の
麻痺 がないかを調べる - 鼻から細くて柔らかい
カメラ を入れて、のどの奥を観察する
- 声がれがある場合には、声帯の
- 血液検査
- 遺伝子検査
- 遺伝性髄様
がん の95%にあるRET遺伝子変異を調べる - 現時点では、RET遺伝子検査は保険適応外
- 遺伝性髄様
- 病理検査
- がんを疑うしこりに針を刺して細胞を取り、悪性の細胞がないかを顕微鏡で調べる
CT 検査- 頸部CT検査で甲状腺の
腫瘍 の位置や、周囲のリンパ節 の腫れを調べる - 遺伝性髄様がんでは、腹部から骨盤のCT検査で、副腎に腫瘍がないかどうかを調べる
- 頸部CT検査で甲状腺の
PET-CT検査 - 全身に
転移 がないかどうかを調べる
- 全身に
甲状腺髄様がんの治療法
手術で
がん を切除するのが治療の原則放射性ヨード内用療法
- 他の甲状腺がんでは有効だが、髄様がんに対しては効果がない
- 通常と異なる放射性ヨード(I-131MIBG)を用いた治療方法もあるが、日本では未承認
放射線治療 :外照射- 摘出できなかった髄様がんに、体の外から放射線を当てる治療
- 放射線外照射の治療効果は少なく、あまり行われない
化学療法 抗がん剤 を用いた治療法は髄様がんでは効果に乏しい- 分子標的薬の保険適応がある
- 根治的治療ではなく、進行を抑制する治療
- 進行した髄様がんでは分子標的薬を使用した場合も使用しない場合でも、生存期間に差がないため、急速な進行などの場合に限って行われる
想定される経過が良くないものの要因として以下のものがある
- 診断時の年齢が50-60歳以上
- 男性
- 診断時に
リンパ節転移 がある - 診断時に
遠隔転移 がある - がんが甲状腺を包む膜(被膜:ひまく)の外に出ている
- 全摘術をしない場合
- がんが残存する手術をした場合
手術後の定期検診
- 再発の有無を確認するため、定期的な受診が必要
- 血液検査
- カルシトニン
- CEA
- 画像検査
超音波検査 CT 検査PET-CT検査 など
- 甲状腺がんは再発までの期間が長く、長期的な通院が必要
10年生存率は75%