けっせんせいがいじかく
血栓性外痔核
肛門周囲の血管の中に血のかたまりができ、しこりのようになった状態
5人の医師がチェック 94回の改訂 最終更新: 2017.12.06

Beta 血栓性外痔核のQ&A

    血栓性外痔核の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    痔核は、肛門近くにある血管(静脈)が膨れたものです。

    原因には様々な説があり、未だ正確なことは分かっていません。静脈は肛門内の粘膜の裏側にあるのですが、何らかの原因で粘膜やその周囲の筋肉が弱まって、静脈が徐々に粘膜の下から盛り上がってきてしまうと考えられています。また別の説としては、肛門括約筋と呼ばれる筋肉(便が漏れてしまうのを防ぐ筋肉)が力みすぎていることの影響もあるのではないかと言われています。加齢を含めた様々な原因が重なった結果として、静脈が部分的に膨れて出っ張っているのが痔核です。

    痔核内部の血管では、血液の流れが淀んでいます。血管が膨らんでいたり、圧迫を受けやすかったりするためです。血液は一定に流れていないとかたまってしまいまい、そこで出来たかたまりは血栓と呼ばれます。血栓ができると血管が詰まって行き止まりになるわけですから、つかえている血液のため、余計に血管内の圧力が上がって痛みを引き起こします。これが、血栓性外痔核と呼ばれる状態です。

    血栓性外痔核は、どんな症状で発症するのですか?

    血栓ができていない段階の外痔核は、ほとんど症状がないこともある一方で、出血、痛み、かゆみなどを引き起こすことがあります。

    ここに血栓が生じて血栓性外痔核になると、数日間の経過で急激に痛みが強くなります。痔核は固くなり、少し擦れるだけで強い痛みを生じます。痛みのために座ることができなくなったり、一方で痔核の部位によっては歩くだけで痛みが生じます。

    血栓性外痔核は、どのように診断するのですか?

    肛門鏡と呼ばれる器具を使用しての診察や、指診(直腸診)といって肛門から指を挿入しての診察が必要な内痔核とは違い、外痔核は外に出ていることが多いため診断がより容易です。外痔核の場合にはお尻の肉を避けた上で、肛門部にある痔核を直接確認します。ここに血栓が生じると赤黒く腫れて見えるので、そのことから診断をつけることができます。

    血栓性外痔核の治療法について教えて下さい。

    血栓性外痔核の治療には、薬によるものと外科的療法(手術)があります。軽度のものであれば、薬物療法だけで血液の流れが改善して、痔核の腫れが引き、症状を改善させられることがあります。しかし、症状や血栓がなくなるまでには数週間を要します。

    ある程度以上の痔核の場合、あるいは痛みが強い、出血が多いなどの場合には、外科的療法が行われます。

    これら治療法それぞれの詳細については、次項以降でより詳しく説明します。

    どのような人が血栓性外痔核になりやすいのですか?

    必ずしも血栓性外痔核そのものになりやすい人の特徴とは言えませんが、痔核全般に言えることとしては、以下のようなものが知られています

    • 排便の際にいきむことが多い
    • トイレに座っている時間が長い

    逆に、ベジタリアンの人には少ないと言われています。

    血栓性外痔核の薬にはどのようなものがありますか?

    外痔核に対して使用する薬には、軟膏と飲み薬があります。

    • 軟膏
      • 炎症を抑えるために使用します。最も一般的な薬剤はステロイド系のものです
      • 大腸菌死菌浮遊液といって、大腸菌(ただし死んでいて病原性のないもの)を含む軟膏もあります。これを注入することで、菌に対する免疫反応が活発になり、痔核の治癒が促進されると考えられています
      • 痛み止め目的で、麻酔薬が含まれているものもあります
      • 軟膏の中には、細いノズルを肛門に挿入して、そのままチューブを押して内部に注入できるように作られている製品もあります
    • 飲み薬
      • 軟膏ほど一般的ではありませんが、炎症を抑える薬や痛み止め、血液の流れを改善させる薬、便秘薬などを使用することがあります。

    また、風呂などで患部を温めて血行を促進させることも有効です。

    血栓性外痔核と外痔核、また内痔核などの違いについて教えて下さい。

    いわゆる「痔」と呼ばれているものには3種類あります。

    • 痔核(いぼ痔)
      • 肛門管の中で静脈が膨らんだものです。肛門管の奥側にできたものが「内痔核」、肛門管の手前側にできたものが「外痔核」です。内痔核は肛門から飛び出てくることはありますが痛みは全くないかあっても少なく、外痔核は肛門付近にあって強い痛みの原因となります。
      • 外痔核の中でも、痔核の内部に血のかたまり(血栓)ができているものを血栓性外痔核と呼びます。血栓ができるとしばしば激しい痛みを引き起こします。
    • 裂肛(切れ痔)
      • 肛門管の粘膜が切れてしまったものです。便などの刺激によって切れてしまう場合と、炎症性腸疾患や腫瘍などの影響で発症する場合があります。
    • 痔瘻(あな痔)
      • 肛門管の粘膜の裏側に膿が溜まり、それが皮膚を破って流れ出た後にトンネル状の空間が残った状態です。感染を繰り返すことがあります。

    血栓性外痔核の手術について教えて下さい。

    血栓が大きい場合や、痛みが強い場合、出血が多い場合などには手術が行われます。以下の2種類の手術があります。

    • 痔核切除術
      • 血栓を痔核ごと切除する手術です。痔核ごと取り除くため、血栓の取り残しや、再発の可能性が下がるメリットがあります。
    • 血栓除去術1)
      • 痔核を切り開き、内部にある血のかたまりを取り除きます。痔核は残りますが、外痔核切除術よりも簡便ですぐに行えるというメリットがあります。

    どちらを選択するかは、痔核の場所や大きさ、個数などにもよって変わってきます。

    血栓性外痔核は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    血栓性外痔核に限った、信頼できる数値は明らかではありません。痔核全体としての有病率も、報告によって4%から55%までと様々ですが、低く見積もっても、決して他の病気と比較してまれなものではないことが分かります。なおこれは、外痔核(血栓性を含む)と内痔核を合わせた数値です。

    また男女差はなく、45-65歳に特に多いことが知られています。

    参考:「肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン(2014年版)日本大腸肛門病学会

    報告により数値が大きく異なるのには、調査方法の違いが影響していると考えられます。自己回答式のアンケート調査では、症状のない痔核は(本人がその存在に気づいていないため)数値が低く出るでしょう。一方で、医師が診察を行って無自覚の痔核も見つけて報告する調査であれば数値は高く出ます。また、調査対象としている年齢層にも大きく左右されると考えられます。

    4%や55%という数値はいずれもやや極端のようにも感じられますが、いずれにせよあまり珍しいものではなく、痔核は多くの方が抱えている疾患の一つです。

    血栓性外痔核に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    痔核が悪化する生活習慣の改善を、可能な範囲で試みることが重要です。例えば以下のようなものがあります。

    • 十分な水分を摂取する
    • 十分な食物繊維を摂取する
    • 長時間座り続けでいることを避ける
    • 寒い場所での作業を避ける
    • 便意があれば我慢せずに排便する
    • 排便時にいきみすぎないようにする
    • アルコール摂取量を減らす
    • 疲れやストレスの軽減