腸重積の検査について
腸重積になる人の8割が2歳以下の子どもだといわれており、
1. 問診
問診では受診のきっかけとなった「腹痛(不機嫌・泣く)」、「嘔吐」、「いちごジャム状の血便」、「普段との様子の違い」などの症状や、これまでかかったことのある病気などについて、お医者さんから詳しく質問されます。子どもではうまく伝えられないことが多いので、問診では保護者からの情報が欠かせません。特に大切なのは保護者が感じた普段の様子との違いです。
たとえば、いつもは落ち着きのないくらい活発な子どもが、その日は診察室のイスに静かに寄りかかっていたとしても、普段の様子を知らないお医者さんには「いつもより元気がない」とはわかりません。このようなときには「普段より元気がなくぐったりしています」とお医者さんに伝えてください。
また、便の性状や量を伝えるのに、口頭で説明するのが難しければ、スマートフォンなどで撮影した写真をお医者さんに見せるのも良いです。
2. 身体診察
身体診察では、お医者さんが患者さんの身体を触ったり身体の中の音を聞いたりして症状の原因に迫ります。
バイタルサイン
聴診
触診
身体を触ったり押したりして異常を探る診察です。おなかの右上を触ると、腸重積の子どもの9割以上でソーセージのようなかたまりを確認できます。また、おなかの右下を触ると腸がなく空っぽになっているように感じる「Dance徴候」がみられることがあります。Dance徴候は腸重積に特徴的ではありますが、腸重積の子どもの1割程でしか確認できません。
3. 血液検査
軽い腸重積では血液検査は正常なことが多いです。しかし、腸重積が進行すると下記の検査項目で異常がみられます。
白血球 数、CRP :炎症 の有無の指標になる- AST、
LDH 、乳酸、カリウム:腸に損傷があると上昇する - BUN、クレアチニン:脱水が起きたり
腎機能 が低下すると上昇する
腸重積に限らず、身体の一部が損傷したり体内に異物が入ってきたりすると、白血球数やCRPなどの値が異常値になります。重症の腸重積の人では、損傷した腸の細胞からAST、LDH、乳酸、カリウムが血液中に漏れ出るため、これらの血液検査の値が高くなります。また、進行した腸重積の人は脱水となって、BUNやクレアチニンが高値になることがあります。
4. 画像検査
問診や診察で腸重積が疑われると、画像検査を受けることになります。
腹部超音波検査(腹部エコー検査)
超音波は人間には聞こえない高い音のことです。超音波を発生するプローブとよばれる装置をおなかに当てて検査をします。臓器まで到達し跳ね返ってきた超音波の量を測定することで、臓器の画像が見られます。超音波検査では副作用の心配はありません。ほとんどの腸重積は超音波検査でみつけることができます。
腸重積を超音波検査でみると、ターゲットサイン(target sign)やシュードキッドニーサイン(pseudokidney sign) といった特徴的な像が確認できます。ターゲットサインとは重なった腸が弓矢の的のように見える超音波画像のことです。シュードキッドニーサインは、腸重積となった腸の塊が腎臓に似た形に見える様子のことです。
腹部レントゲン検査
腸重積をみつけるには腹部レントゲン検査よりも超音波検査のほうが有用です。しかし、腸に穴があいてお腹の中に空気が漏れ出ているかどうか調べるときには腹部レントゲン検査が有用なことがあります。