ひこつしんけいまひ
腓骨神経麻痺
足首や足の指を持ち上げる運動とすねの外側から足の甲にかけての皮膚の感覚を支配している腓骨神経の麻痺
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最終更新: 2022.02.25
腓骨神経麻痺の基礎知識
POINT 腓骨神経麻痺とは
腓骨神経は足の外側にある神経で、足首や足の指を持ち上げる運動とすねの外側から足の甲にかけての皮膚の感覚を支配しています。そのため、腓骨神経に麻痺が起こると、足の甲の部分の神経が傷害されてしびれや触覚が鈍くなり、足首と足の指を曲げることができなくなります。足の外側からの長時間の圧迫や打撲によって神経に障害が最も多い原因であり、切り傷や骨折にともなうこともあります。腓骨神経麻痺が疑われる人は診察によって診断が行われます。多くの腓骨神経麻痺は自然治癒するために、経過観察が行われますが、重症な場合は手術によって神経の圧迫が取り除かれます。腓骨神経麻痺が心配な人は整形外科や脳神経内科を受診してください。
腓骨神経麻痺について
- 膝の外側を通っている腓骨神経の
麻痺 - 腓骨神経は足首や足の指を持ち上げる運動と、すねの外側から足の甲にかけての皮膚の感覚に働く
- 神経の麻痺は
打撲 や骨折、圧迫などにより神経が傷つき、正常な情報の伝達が阻害されて起こる
- 主な原因
- 打撲
- 長時間の圧迫
- 足を組む姿勢
- 草むしりのような膝を曲げた姿勢
- 硬い床の上で横向きに寝ること
- 切り傷
- 骨折
- 糖尿病などもともと持っている病気によって起こる場合もある
腓骨神経麻痺の症状
- 感覚障害
- すねの外側から足の甲にかけてのしびれ
- 足の親指と人差し指の間が痺れる場合もある
- 運動障害
- つま先を上げられない
- 足首が重力に逆らえず垂れ下がる(下垂足)
- 下垂足が明らかでない場合でも、障子の敷居で足をひっかけたり、サンダルが脱げやすいといった症状が見られることもある
腓骨神経麻痺の検査・診断
- 視診:筋肉の
萎縮 (細くなっていないか)やけいれんの有無、下垂足の有無を調べる - 筋力検査:徒手筋力テストによって筋力を調べる
- 感覚検査:皮膚の感覚の有無を調べる
腓骨神経麻痺の治療法
- 神経の損傷は重度でなければ時間をかけて自然に
治癒 するため、下垂足を防止する装具やサポーターによって歩きづらさを改善しながら回復を待つことが多い - 重症な場合は手術が行われることもある
- 神経への圧迫を取り除く
- 神経の
縫合 ・剥離・移植 - 障害を受けた筋肉以外の筋肉で動きを代償させるために、腱移行術という手術が行われることもある