れっこう(きれじ)
裂肛(切れ痔)
排便時に肛門の出口付近の皮膚が切れることや裂けた状態。一般には切れ痔と呼ばれている
5人の医師がチェック 115回の改訂 最終更新: 2017.12.06

Beta 裂肛(切れ痔)のQ&A

    裂肛の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    裂肛のうち、圧倒的に頻度の高いものは、いわゆる「切れ痔」です。便が肛門付近を通過する際に粘膜が裂けて傷がついてしまうというものです。便秘がちな人の場合、便が硬くなるため粘膜に傷がつきやすくなります。

    それ以外の原因としては下痢でも裂肛を来すことがありますし、その他の病気(クローン病やカンジダ症など)が原因で裂肛が生じることもあります。

    裂肛は、どんな症状で発症するのですか?

    初期には、排便時の痛みで発症します。肛門周囲には神経が豊富であるため、粘膜が切られるような鋭い痛みを感じることが多いです。また、血液が便に付いて出てくることもしばしば見られます。

    この裂肛が治らずに慢性化すると、徐々に傷が深まっていきます。傷の内側に便や細菌が溜まると炎症を引き起こし、排便時以外でも痛みが続くことがあります。

    裂肛の治療法について教えて下さい。

    裂肛の治療にはいくつかの種類があります。

    1. 塗り薬
      • 痛み止めとしての局所麻酔薬や、炎症を抑えるためのステロイド剤の軟膏1)を使用します。
    2. 内服薬
      • 便秘や下痢が関わっていると思われる裂肛の場合には、それらに対する薬を服用して、排便の状況を改善させます。
    3. 手術
      • 裂肛がある部分の粘膜を(裂肛ごと)切り取って、そして縫い合わせるというのが基本的な流れです。裂肛によって肛門が狭くなってしまっている場合や、また、それを予防する目的で、切り方を工夫したり別の箇所に切れ込みを加えたりするなど、いくつかの手法があります。
      • 入院の上で、腰椎麻酔(下半身だけに効いて意識は残る麻酔)で行われることがほとんどです。

    裂肛は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    国内の調査で、裂肛および痔瘻のある患者の1日あたり受診総数は26,000人と報告されています。

    参考:「平成23年患者調査(疾病分類編)厚生労働省」

    裂肛の患者数と痔瘻の患者数は、裂肛患者がやや痔瘻患者を上回ると考えられますが、合わせて毎日26,000人ということですから、受診に至らなかった方も含めると相当な数の潜在患者がいると考えられます。

    また、裂肛は2:3で男性よりも女性に多く、20-30代をピークとして、それ以上の年代では徐々に少なくなってきます。

    裂肛が長期化すると、どのような症状が起こりますか?

    裂肛がなかなか治らずに慢性化すると、肛門狭窄と呼ばれる状態が生じることがあります。

    裂肛の傷が治る時には、その周囲の粘膜が多少引きつれて、周りを引っ張り込むような形で粘膜が再生します。傷ができては治り、ということを繰り返すと、そのたびに粘膜が引っ張られて、本来は柔らかく伸び縮みする肛門の皮膚が、硬く縮こまってしまうことになります。

    この状態を、肛門狭窄と呼びます。肛門狭窄を治療するためには手術が必要です。

    また、裂肛の前後にポリープのようなものができることがあります。裂肛の手前側(肛門の周囲)には俗に「見張りイボ」と呼ばれる余分な皮膚状のものが、そして、裂肛の奥側には肥大乳頭ポリープと呼ばれるいぼ状のものが、いずれも裂肛が慢性化した時にできやすいことが知られています。

    裂肛は、どのように診断するのですか?

    裂肛の診断は、問診(症状や経過の確認)と視診(肛門部を直接観察する)が基本となります。お尻の肉を左右に広げて裂肛が見えれば診断がつきます。

    より奥側にあって見えにくい場合には、指診(直腸診)と言って、指先を肛門内部に挿入する診察を行ったり、肛門鏡といって肛門を広げて内部を見やすくする器具を使用したりすることがあります。

    裂肛と痔瘻(じろう)の違いについて教えて下さい。

    裂肛は、肛門の奥の粘膜に傷がついている状態を指します。裂けたような傷が多いですが、粘膜がえぐれるような潰瘍や、傷が深くはないが広がりをもっているびらんといったものもあります。これらも広義には裂肛の一種です。

    痔瘻とは、粘膜の裏側に細菌感染を起こし、その結果として粘膜の表面から肛門の出口周辺などへ、細いトンネル状の穴がつながっている状態のことです。

    どちらも肛門内部の傷には変わりありませんが、粘膜表面の傷である裂肛に対し、粘膜の奥まで細くトンネル状につながっている痔瘻、という違いがあります。

    裂肛に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    便秘や下痢が原因の裂肛の場合、これらを悪化させないようにするため、排便のコントロールが重要です。

    便秘の場合には野菜や果物から食物繊維を摂取することが有効です。下痢の場合には原因は様々ですが、刺激性のものや、乳製品でお腹を下しやすい人はなるべくそれらの食材を避けるようにします。

    裂肛の、その他の検査について教えて下さい。

    大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行う際に偶然裂肛が見つかることがあります。ただし、裂肛の診断を確かめるためだけに大腸カメラを行うことはまれです。

    血便がある場合には、裂肛が原因のことも多いですが、中には大腸がんなどが原因で血便を生じることもあるため、そのような病気を否定する目的も兼ねて大腸カメラを行うことはあります。