Beta 急性扁桃炎のQ&A
急性扁桃炎の原因、メカニズムについて教えて下さい。
かぜ症候群、上気道感染症の多くはウィルスが原因です。扁桃炎や咽頭炎も病初期にはウィルスが原因のことが多く、原因ウィルスにはアデノウイルス、コクサッキーウィルス、インフルエンザウィルス、サイトメガロウィルス、RSウィルス、EBウイルス、単純ヘルペスなど数多くの種類があります。かぜ症状の2,3日以降に細菌感染が原因として多くなってきます。主な細菌感染の原因菌はA群β溶連菌で、肺炎球菌やインフルエンザ菌なども検出されます。
急性扁桃炎に関して、扁桃とは何ですか?
扁桃は咽頭の粘膜内に発達したリンパ組織の集合体で、口蓋扁桃、咽頭扁桃、耳管扁桃、舌扁桃があります。咽頭には扁桃以外にも、咽頭側索および咽頭後壁のリンパ組織が多数あり、咽頭部を輪状にとり囲んでワルダイエル扁桃輪を形成しています。一般に扁桃というときには口蓋扁桃のことを指し、口蓋扁桃に炎症が起きている場合に、扁桃炎といいます。
急性扁桃炎は、他人にうつる病気ですか?
かぜウィルスの中では、インフルエンザウィルスとアデノウィルスは感染力が強く、細菌性の扁桃炎ではA群溶連菌が最も感染力が強く、家族内や集団生活の場では注意が必要です。
急性扁桃炎は、どんな症状で発症するのですか?
咽頭痛,嚥下痛、発熱が主な症状です。通常、扁桃炎は咽頭炎を伴う上気道感染症ですから、一般のかぜ症状でみられる鼻水、咳、痰、頭痛、関節痛、全身倦怠感もあります。
急性扁桃炎が重症化すると、どのような症状が起こりますか?
嚥下困難で水も飲み込めない、高熱が続く、頚部リンパ節が腫れるなどの症状が起こります。
急性扁桃炎は、どのように診断するのですか?
視診で口蓋扁桃の発赤、腫脹、膿栓の付着が認められます。
急性扁桃炎の、その他の検査について教えて下さい。
原因細菌を検査するためには細菌培養検査が行われますが、結果が出るまでに数日かかります。最も重要な溶連菌はA群β溶連菌迅速抗原検出キットで、結果は10分程度で判明します。ウィルス検査としてはアデノウィルスとインフルエンザウィルスに対する迅速検出キットがよく使われます。
扁桃周囲や頚部リンパ節の腫脹、嚥下困難など重症なケースでは、膿瘍(膿のかたまり)を形成している場合もあり、CT検査を行う場合もあります。
急性扁桃炎と診断が紛らわしい病気はありますか?
通常の感冒(ウィルス性上気道炎)は鼻水や咳が主な症状で、のどの痛みが主症状の扁桃炎とは区別ができます。
急性扁桃炎の治療法について教えて下さい。
溶連菌感染症に対しては、ペニシリン系あるいはセフェム系の抗生物質を使用します。咽頭痛、発熱などに対しては消炎鎮痛剤などによる対症療法が行われます。
急性扁桃炎に関して、扁桃炎を繰り返していますが、扁桃摘出手術の必要は無いでしょうか。
急性扁桃炎も安静や薬の治療などによって短期間に症状が落ち着くようであれば問題はありません。しかし、以下のケースでは手術を考慮することがあります。
・ 年に3-4回以上、炎症を繰り返す反復性扁桃炎、症状が持続する慢性扁桃炎、急性扁桃炎から扁桃 周囲炎、扁桃周囲膿瘍などの重篤な炎症を繰り返す場合
・ 扁桃の炎症を契機とした身体の他の部位に二次的な疾患を誘発する扁桃病巣感染症などの場合
急性扁桃炎に関して、扁桃摘出手術は危険ではないのでしょうか?
扁桃摘出手術のリスクで最も多いのは出血ですが、適切な手術前後の管理や出血時の処置が行われる限りにおいては安全な手術と考えて良いでしょう。
急性扁桃炎に関して、扁桃摘出手術では入院が必要ですか?
手術後の疼痛、後出血などのトラブルが起こることがあり、通常は入院手術で行われることが多いです。
急性扁桃炎に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。
のどの痛みや嚥下痛が2,3日以上続く場合や悪化するような場合には、扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍などの重篤な病状に伸展していることがあるので、耳鼻咽喉科医の診断を受けるようことが必要です。
急性扁桃炎は、完治する病気ですか?
扁桃摘出手術によって扁桃を無くせば、急性扁桃炎は起こりません。