だいどうみゃくしゅくさくしょう
大動脈縮窄症
うまれつき心臓から血液を身体に送る大動脈の一部が狭くなる病気
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最終更新: 2019.10.03
大動脈縮窄症の基礎知識
POINT 大動脈縮窄症とは
大動脈縮窄症は心臓から全身に血液を送る太い血管(大動脈)が狭くなる病気です。心室中隔欠損症を合併することがあります。主な症状は息切れ・頭痛・腹痛などですが、脳出血や血管からの出血が起こることもあります。 症状や身体診察に加えて、心電図検査や超音波検査やCT検査などを用いて診断します。根治するための治療にはカテーテル治療を行いますが、症状を和らげる目的に薬物治療を行うこともあります。大動脈縮窄症が心配な人や治療したい人は、小児科・小児外科・循環器内科を受診して下さい。
大動脈縮窄症について
- 先天的に心臓から血液を身体に送る大動脈の一部が狭くなる病気
- 先天性心疾患の5-8%を占める
- 以下の2つに分けられる
- 単純型:大動脈が狭くなるのみ
- 複合型:心室中隔欠損を合併
- 左の鎖骨の下あたりで狭くなるのが特徴
- 特に上半身の血圧が高くなる
- 小児慢性特定疾患に指定されており、申請を行えば症状の進行具合によって医療費の補助を受けることができる
大動脈縮窄症の症状
- 幼児期に起こる症状
- 頭痛
- 腹痛
- 足が冷たい
- チアノーゼ(皮膚が青紫色に変化する)
- 成人期に起こる症状
- 心不全による息切れ
- 大動脈からの出血
- 脳の出血
- 全身への血流が悪くなることで様々な症状が起こる
- 尿が出ない
- 呼吸が荒く、ぐったりする
- 身体がむくむ
大動脈縮窄症の検査・診断
- 両腕、両足の血圧測定
- 身体診察と聴診
- 心臓の検査
- 心電図検査
- 心臓を動かす電気信号に異常がないかを調べる
- 胸部レントゲン検査(X線写真)
- 心臓の大きさを調べる
- 肺の血液のうっ滞具合を見る
- 心臓超音波検査
- 大動脈縮搾の程度を調べる
- 大動脈が狭くなっている部分の血流が上昇する
- 心臓の弁や壁に異常がないか確認する
- 心電図検査
- 心臓カテーテル検査
- 心臓の動きと働きや大動脈縮搾の程度、肺高血圧の有無を詳しく調べる
- バルーンを用いた治療が行われることもある
大動脈縮窄症の治療法
- 根治を目指す前に血流を改善させる
- プロスタグランジンを点滴し、胎児期に大動脈と肺動脈をつないでいた動脈管を再び開かせる
- 肺動脈から動脈管を通って血液が狭まった箇所の先に届くようになる
- 高血圧がある場合は降圧薬(β遮断薬など)で治療する
- 心不全を起こしている場合には治療する
- 利尿薬:体の水分を減らして心臓の負担を軽くする
- ACE阻害薬、ARB:血管広げて心臓の負担を減らしてあげる
- プロスタグランジンを点滴し、胎児期に大動脈と肺動脈をつないでいた動脈管を再び開かせる
- 根治療法として、血管内治療が行われることがある
- バルーン血管形成術:カテーテルを使い、狭まった部分でバルーンを膨らませて血管を広げる
- ステントというバネのようなものを血管の中に残して、再び狭まるのを防ぐこともある
- バルーン血管形成術:カテーテルを使い、狭まった部分でバルーンを膨らませて血管を広げる
- 根治のための手術を行うこともある
- 血管の狭まった部分を切り取り、その前後をつなぎ合わせる
- 再度狭窄したり動脈瘤ができたりすることもあるので、手術後も慎重に観察する必要がある
- 感染性心内膜炎を起こしやすいため、手術で根治されたあともほかの病気などで歯科・外科の処置を受ける場合には予防のための抗菌薬を使うことがある
- 大動脈縮窄は先天性の病気であるため有効な予防法はない
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