三尖弁狭窄症の基礎知識
POINT 三尖弁狭窄症とは
心臓にある血液逆流防止弁の中でも三尖弁が狭くなってしまう病気です。三尖弁は右心房と右心室の間にあり、三尖弁狭窄症が起こると右心房から右心室へうまく血流が流れなくなります。主な症状は疲労感・食欲低下・息切れなどになりますが、進行するとむくみなどが出現します。 症状と身体所見に加えて、心臓エコー検査や心電図検査を行って診断します。また、場合によってはカテーテル検査を行うこともあります。症状が軽い場合は薬を用いて治療しますが、症状が重い場合は手術を行います。三尖弁狭窄症が心配な人や治療したい人は、循環器内科や心臓血管外科を受診して下さい。
三尖弁狭窄症について
三尖弁狭窄症の症状
三尖弁狭窄症の検査・診断
聴診 :心臓が血液を送り出すときの音を調べる- 心臓の動きや大きさなどを調べる
心電図検査 心臓超音波検査 胸部レントゲン 検査(X線 写真)
- 診断の確定や治療方針決定のために、
カテーテル検査 を行うことがある
三尖弁狭窄症の治療法
- 薬物療法で心不全を治療する
- 利尿薬:体の水分を減らして心臓の負担を軽くする
- 降圧薬:心臓の負担を軽くする
- 重症の場合は手術を行う
- 弁置換術、切開術など
三尖弁狭窄症の経過と病院探しのポイント
三尖弁狭窄症が心配な方
三尖弁狭窄症によって心不全が起こると、息切れや全身のむくみといったような症状がみられます。
上記のような症状に該当してご心配な方は、まずはかかりつけ医があればそちらを、そして特にかかりつけの医療機関がない場合には循環器内科または心臓血管外科のある病院での受診をお勧めします。心臓血管外科と同様の診療科のことを胸部外科、血管外科、心臓外科と呼んでいる病院もあります。三尖弁狭窄症を主に診療する専門医は、循環器専門医、心臓血管外科専門医です。内科を受診するか外科を受診するかは病気の重症度や時期によって変わってきますので、詳しくは後述します。三尖弁狭窄症は心臓の弁膜症と呼ばれる病気の一種ですから、弁膜症外来のある病院やハートセンターを設けている病院も、専門性が高く高度な医療を提供していると言えます。
三尖弁狭窄症の診断は、心エコーで行います。三尖弁狭窄症があるかどうかの診断や、ある程度重症度の検討をつけるだけであれば、クリニックを含め、心エコーの機械がある医療機関ならばどこでも行うことができます。細かな重症度の判断や、三尖弁狭窄症以外に心臓の病気が重なっていないかどうかを判断するためには、循環器内科、または心臓血管外科のある病院で入院して検査を行います。ここまで本格的な検査を行うのはある程度以上の重症度の場合になりますが、重症の三尖弁狭窄症は心不全につながって命に関わることがあるため、大切な検査です。心臓のカテーテル検査や、経食道エコーと呼ばれる胃カメラのようなエコー検査、また、医師の立ち会いの下で軽い運動をして、心臓に負荷をかけた時に心臓の働きがどうなるかといったことを調べます。
三尖弁狭窄症でお困りの方
三尖弁狭窄症の重症度によって治療が大きく変わります。軽症で、定期的に様子を診る方針で良いのであればクリニックへの通院で診療が可能ですし、重症で本格的な治療を考慮しなければならない場合には、心臓手術が行える病院を選ぶことになります。この場合、三尖弁狭窄症の心臓手術は難易度が高い治療であるため、手術件数が少なすぎないことは、病院を探す上で参考になる基準の一つです。
三尖弁狭窄症の根本治療のためには手術が必要もしくはカテーテル治療となります。いわゆる心臓手術(胸に傷を開けて心臓そのものを手術する開心術)と、カテーテル治療(脚の血管から細いワイヤーを入れて、心臓まで到達させて行う治療)の二種類があります。カテーテル治療の方が体への負担は少ないのですが、エコー検査の結果を中心に、心臓の状態に合わせてどちらの治療が適切かを判断します。
三尖弁狭窄症であっても手術が必要ないような場合には、定期的に通院して心エコーや心電図といった検査を受けながら、症状が悪化しないか様子を見ていくことになります。三尖弁狭窄症については、循環器内科や心臓血管外科のクリニックへ通院することが多いでしょう。長期的な通院が必要となりますので、主治医との相性も大事な判断基準の一つです。