むつうせいこうじょうせんえん
無痛性甲状腺炎
甲状腺ホルモン分泌の異常があるが、甲状腺に痛みはない状態
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最終更新: 2021.03.11
無痛性甲状腺炎の基礎知識
POINT 無痛性甲状腺炎とは
甲状腺ホルモンが過剰に放出された後、甲状腺ホルモンが枯渇して甲状腺機能低下となり、その後自然に改善する病気です。痛みがないため無痛性甲状腺炎と呼ばれます。原因は不明ですが、慢性甲状腺炎(橋本病)の患者さんに起こることが多く、免疫の異常により自分自身の甲状腺を攻撃してしまう物質の関与が考えられています。産後の発症が5-10%にあり、産後12-16週に起こります。症状は、動悸や手の震え、発汗などの甲状腺機能亢進症の症状がみられたあと、だるさや体温低下などの甲状腺機能低下症の症状がでます。通常3か月以内に自然に改善するため治療は行いません。甲状腺機能が改善しない場合は甲状腺ホルモンの内服を行います。診断のためには血液検査や超音波検査を行い、ほかの病気を除外する必要があります。甲状腺の機能に異常がでる病気はさまざまですので、まずは内科に受診してみましょう。
無痛性甲状腺炎について
無痛性甲状腺炎の症状
無痛性甲状腺炎の検査・診断
- 血液検査:血中の
甲状腺ホルモン や、それに関連した自己抗体 (免疫 物質)を調べる症状 が出る時期に一致して、甲状腺 機能上昇・低下のどちらかの検査所見 が現れる白血球 数、赤沈 、CRP は正常
エコー 検査:甲状腺の血流を調べるシンチグラフィ :微弱な放射線を発する特殊な種類のヨウ素を用いて甲状腺の機能を確認する- その他の甲状腺疾患との区別
- 眼球突出や、すねの粘液水腫は無痛性甲状腺炎では見られないことが多い
無痛性甲状腺炎の治療法
症状 に対する治療が主となる(確定診断を待たずに始められることも多い)甲状腺 機能亢進の症状に対して:β遮断薬の内服- 甲状腺機能低下の症状に対して:
甲状腺ホルモン の内服
- 抗甲状腺薬、甲状腺切除手術、放射性ヨウ素療法は行わない
- 甲状腺機能が回復しない場合、甲状腺ホルモンの使用を開始し、9-12か月後に5週間服薬を中止して再検査を行う
- 出産後の
発症 の場合は、一度発症すると、次回出産するときもほぼ必ず再発する
無痛性甲状腺炎のタグ
無痛性甲状腺炎に関わるからだの部位
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