しゅしくっきんけんそんしょう
手指屈筋腱損傷
指を曲げる筋肉の腱が傷つくこと
6人の医師がチェック 74回の改訂 最終更新: 2017.06.15

Beta 手指屈筋腱損傷のQ&A

    手指屈筋腱損傷の原因、メカニズムについて教えて下さい。

     腱は、骨と筋肉をつなぐ働きをします。腱が切断されてしまったり、指を曲げようとした時に伸ばす方向に強い力が働くなどの外傷によって、腱が指の骨から離れ、筋肉から得た力が指に伝わらなくなることが原因で発症します。  腱の損傷は、刃物などの外傷により直接腱が切れてしまう場合と、骨の変形によって腱がすり減ってしまう場合があります。

    手指屈筋腱損傷は、どんな症状で発症するのですか?

    痛みや内出血、指や関節が曲がらなくなるといった症状や、指の感覚が鈍くなり、生活上の細かい作業が困難になるといった症状がみられます。曲がらなくなる指や関節は、損傷の場所や程度により異なります。腱の損傷と同時に血管が切れてしまった場合には、多量の出血がみられることもあります。

    手指屈筋腱損傷に関して、同じ指でも曲がる関節と曲がらない関節があります。この指は、腱損傷をしていますか?

    損傷している可能性があります。手指には深指屈筋腱と浅指屈筋腱と呼ばれる2本の腱があります。深指屈筋腱は、手の深いところを通る腱で、第二関節と繋がっています。浅指屈筋腱は手の表面を通る腱で、第一関節と繋がっています。そのため、浅指屈筋腱のみが切れてしまった場合には、第二関節は曲がりますが、第一関節は曲がらないといった症状がみられます。しかし、この症状だけでは腱の損傷であるかの判断はつきにくいので、画像診断により症状の原因を調べる必要があります。

    手指屈筋腱損傷は、どのように診断するのですか?

    手首、てのひら、指(てのひら側)に怪我をした後、指の関節が曲がらなくなったということを確認します。また、骨折の有無を調べるためのレントゲンやレントゲンではわからない骨折を詳細に調べるためにCTを行い診断することもあります。

    手指屈筋腱損傷の、その他の検査について教えて下さい。

    損傷が生じた場所や程度によって、どのような治療が行われるかが異なります。そのため、曲げることができる指や曲がる関節など、どの腱が損傷しているかについて、問診や指を自発的に動かしてもらうことで診断が行われます。

    手指屈筋腱損傷の治療法について教えて下さい。

    腱が部分的に繋がっていれば、損傷があった部位をギプスで固定する保存療法が行われます。腱が切断されていた場合は、切れた腱を縫い合わせる腱縫合術や、切れた腱に他の腱を移植する腱移植術が行われます。腱の手術は、非常に繊細であるため、手外科専門医による治療が望ましいとされています。  重症度によっても異なりますが、腱が繋がるまでには3週間程度かかるといわれています。

    手指屈筋腱損傷の手術が終わったら、すぐに手を使えるようになりますか?

    手術によって、腱同士を縫い合わせることは可能ですが、周りの腱や腱のトンネルである腱鞘と腱が癒着してしまう可能性があるため、指を曲げる動きを改善させるためのリハビリテーションが行われます。リハビリテーションの期間は、手術直後から開始時、12週間前後の期間を要すことが多いようです。

    手指屈筋腱損傷に関して、どのようなリハビリテーションが行われますか?

    装具をもちいて、指をてのひら側に曲げて固定し、自分の力で指を伸ばす運動が行われます。手術後早期から指を動かすことは腱の癒着を防ぐ上で重要であるため、積極的に行われることが求められます。その後は、腱のくっつき具合に応じて、指にかける負荷を高めていき、生活上で手を用いるよう手の動かし方の指導などが行われます。  腱の手術後のリハビリテーションは、障害された部位によってきめ細かいプログラムが設定されていることから、専門的なリハビリテーションを行うことのできる機関への受診が適切といえます。

    手指屈筋腱損傷に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    手指屈筋腱損傷は、手指が機械などに巻き込まれてしまう装置を扱う職場で起こりやすい疾患です。事故を予防するためには、作業を開始するときには、注意を払うことが求められます。また、交通事故をおこさないよう、安全運転に気をつけたり、スポーツをする際には準備運動を行うことも日常生活で気をつけるべき点の一つです。

    手指屈筋腱損傷に関して、ケガから長期間時間がたつとどうなりますか?

    腱の通り道である腱鞘内で腱が切れ2週間以上たつと、腱が腫れ太くなってしまいます。そのため、手術によって切れた腱どうしを繋ぐ腱縫合術を行うことが難しくなります。そうした場合には、損傷していない腱を損傷した腱の代わりに置き換える腱の移植術が必要になります。移植による腱の縫合は、元の腱が縫合するより難しいため、出来るだけ早期に治療をすることが望ましいといえます。