さんじょくねつ
産褥熱
分娩後、子宮に細菌が感染して発熱が生じた状態。分娩後24時間経ってから10日ごろまでに生じるものを指す
5人の医師がチェック 102回の改訂 最終更新: 2018.08.31

産褥熱の基礎知識

POINT 産褥熱とは

産後24時間から10日以内に2日間、38度以上の熱が出ることを指します。お産の際に細菌が腟や子宮に入り込み感染することで起こります。発熱の他に腹痛、悪露(分娩後の分泌物)の悪臭などが症状が現れます。破水後24時間以降のお産や帝王切開術、胎盤遺残、母体の免疫力低下などが原因として挙げられます。検査として、内診やエコー検査、血液検査、尿検査、細菌培養検査を行います。必要に応じてCT検査などが追加されることもあります。 治療は抗菌薬治療(内服または点滴)が中心です。また、子宮の中に胎盤や血腫が残っている場合はそれを取り除く処置が追加されたり子宮収縮剤が投与されます。抗菌薬治療の効果がなく、お腹に膿がたまってしまった場合は手術になることもあります。退院後に発熱をして心配な方は産婦人科を受診してください。

産褥熱について

  • 分娩後、子宮に細菌が感染して発熱が生じた状態
    • 出産した直後は、腟や子宮などに細菌感染が起きやすい
    • 特に子宮内膜炎が熱の原因となることが多い(悪露が子宮に貯留していると感染が生じやすいため)
  • 分娩後24時間から10日ごろまでに生じた子宮やその周囲の感染
  • 経腟分娩よりも帝王切開による出産の場合に起こりやすい
    • 帝王切開では5-20%、正常分娩では数%程度
  • 産褥期は、尿路感染症膀胱炎腎盂腎炎)や乳腺炎うっ滞乳腺炎、化乳腺炎)も併発しやすい

産褥熱の症状

  • 発熱
  • 下腹部痛
  • 子宮の圧痛
  • 悪臭のある悪露の流出
  • 軽度の出血

産褥熱の検査・診断

  • 細菌検査
    • 血液、腟から感染の原因となり得る細菌の有無を調べる
  • 血液検査
    • 炎症の程度や全身の状態を確認する
  • 経腟超音波検査
    • 子宮の中に遺残物、貯留物がないかを確認する
  • 腹部CT腹部MRI検査
    • 抗生物質抗菌薬)を使用してもなかなか解熱しない場合には、他の部分にが貯留していないかの確認のため行われることがある

産褥熱の治療法

  • 抗菌薬による治療が原則
    • ペニシリン系、セフェム系抗菌薬など
    • 近年では抗菌薬による治療が素早く行われるようになり、産褥熱が起こる頻度が低下してきている
  • 子宮の中に胎盤などが残っている場合に放っておくと全身状態が重症になるので、速やかに取り除く必要がある

産褥熱のタグ

産褥熱に関わるからだの部位