なんちせいげりしょう
難治性下痢症
2週間以上続き、原因の特定や治療が難しい下痢のこと。先天的な病気が原因となることが多い
5人の医師がチェック 111回の改訂 最終更新: 2017.08.04

難治性下痢症の基礎知識

POINT 難治性下痢症とは

難治性下痢症は治療が難しい下痢が2週間以上続く状態です。生まれつき下痢をしやすい場合が多いですが、甲状腺機能亢進症や食物過敏性腸症候群などの病気で起こることもあります。主な症状は下痢・体重が増えない・成長が遅れるなどになります。 症状や身体診察に加えて、血液検査や便検査を用いて診断します。有効性の高い治療法はないことがほとんどですが、原因を回避するように努めたり消化しやすい栄養をとるように努めたりして下痢を予防します。難治性下痢症が心配な人や治療したい人は、小児科・消化器内科・総合内科などを受診して下さい。

難治性下痢症について

  • 2週間以上続く原因が特定できない下痢のこと
  • 主な原因として以下の4つが挙げられる
    • 腸で栄養素(炭水化物、タンパク質、脂肪など)の消化ができない
      • 膵臓から分泌される消化酵素の機能不全
    • 腸で栄養素の吸収ができない
      • 腸の粘膜の異常
    • 腸で水分の吸収ができない、あるいは水分の異常分泌
    • 腸蠕動(腸の収縮運動)が激しい
  • 原因となる具体的な病気の例

難治性下痢症の症状

  • 主な症状
    • 生後数日以内に始まる下痢
    • 体重が増えない
    • 栄養障害
    • 成長障害
  • 慢性化した際の症状
    • 免疫力低下により、重度の感染症をきたす
    • 貧血
    • 皮膚炎

難治性下痢症の検査・診断

  • 便検査
  • 食物過敏性腸症が疑われる場合はアレルギーの原因となる食物を特定する必要がある
  • 必要に応じて生検を行い腸粘膜の異常を調べる
  • クリニテスト:便の酸性度を調べる
    • 糖質が吸収できない場合に酸性化する

難治性下痢症の治療法

  • 脱水症の治療を行った後、栄養療法を行うことが治療の基本
    • 栄養療法はすでに消化された状態のタンパク質やアミノ酸の含まれた栄養剤を使用する
  • 腸から栄養が摂れない場合は、点滴で静脈から栄養を摂る
  • 細菌感染が原因となっていることはほとんどないので、抗菌薬抗生物質)を使用しても効果はない
    • むしろ腸内細菌叢(常在菌)を乱すため下痢は悪化する
  • 先天性疾患が原因の場合は下痢を予防するのは困難

難治性下痢症のタグ

難治性下痢症に関わるからだの部位