蚕蝕性角膜潰瘍の基礎知識
POINT 蚕蝕性角膜潰瘍とは
目の表面にある角膜という層に潰瘍ができるて薄くなる病気です。本来は身体を守ってくれる免疫細胞が自分を攻撃してしまうことが原因だと考えられています。このような免疫の異常による病気を自己免疫性疾患といいます。病気の広がり方が蚕(かいこ)が円弧状に葉っぱを食べる様子と似ていることから蚕触性角膜潰瘍と呼ばれます。初期にはあまり症状がないこともありますが、角膜に穴が空くことがあり、急激に視力が低下することもあります。視力検査や視野検査、細隙灯顕微鏡検査などで詳しく調べられます。ステロイド薬や免疫抑制薬を用いて治療しますが、重症化した場合は角膜移植をすることもあります。蚕触性角膜潰瘍は眼科や膠原病内科などが協力して治療が行われます。
蚕蝕性角膜潰瘍について
- 黒目の部分の周辺部に沿って、弧状に角膜が薄くなる重症の病気
免疫 の異常で角膜がダメージを受けると考えられている(自己免疫疾患 )- 自己免疫疾患に
合併 することがある病変 の広がり方が、蚕(かいこ)が円弧状に葉っぱを食べる様子と似ていることから「蚕蝕性」と名付けられた
蚕蝕性角膜潰瘍の症状
- 白目の部分(強膜)にひどい充血と眼痛が生じる
- 眼の痛みが強いとされるが、中にはほとんど痛みが出ない場合もある
- 目やにはあまり出ない
- 初期は角膜の中央が侵されないので視力低下があまりない
- 進行すると強度の乱視、角膜の中央の腫れを伴って視力が低下する
- 薄くなった部分に角膜の穴があくこともある
- 穴があくと視力が急激に低下する
- 症状は片眼のことも両眼のこともある
蚕蝕性角膜潰瘍の検査・診断
- 血液検査:
自己免疫疾患 がないか調べる - 関節リウマチで似た状態になることはあるが、これは蚕蝕性角膜潰瘍とは別とされる
- 両者が本当に別の病気であるかはよくわかっていない
蚕蝕性角膜潰瘍の治療法
ステロイド薬 の使用- 点眼では不十分なことが多く、大量
ステロイド の点滴を行うことがある
- 点眼では不十分なことが多く、大量
免疫 抑制薬が使用される場合もある- 多くの場合、治療用のソフトコンタクトレンズを付ける
- 重症の場合は手術を行う
- 角膜上皮形成術:病気となっている角膜を削りとって、正常の角膜の上皮細胞を移植する手術
蚕蝕性角膜潰瘍の経過と病院探しのポイント
蚕蝕性角膜潰瘍が心配な方
蚕食性角膜潰瘍では、目の充血や痛みといった症状が出現します。原因は免疫の異常で、自己免疫性の異常が関わっていると考えられていますが、詳細は未だ分かっていません。眼の痛みが出る病気は蚕食性角膜潰瘍に限りませんので、症状のみからご自身でこの病気だと診断するのは困難です。
ご自身の症状がご心配の場合は、まず一度お近くの眼科クリニックを受診して診察を受けることをお勧めします。蚕食性角膜潰瘍の診断そのものは眼科の機器を用いて観察すれば分かりますので、大病院や専門病院でなければ診断がつけられないということはありません。その後の検査では特殊な血液検査を行ったりするため、実際に診断が蚕食性角膜潰瘍であった場合には、必要に応じて総合病院の眼科を紹介されることになるかと思います。
蚕蝕性角膜潰瘍でお困りの方
蚕食性角膜潰瘍では、ステロイド薬の点眼や内服薬を使用します。ステロイド薬で効果が不十分の場合には免疫抑制薬を使用します。
眼科の中でもやや特殊な疾患です。多くの場合には眼科クリニックではなく、総合病院の眼科に通院することになるでしょう。その場合でも元々の病院から診療情報提供書(紹介状)をもらった上で受診することをお勧めします。蚕食性角膜潰瘍の精査を行う上で、普段の様子やその他の病気の有無、検査結果はとても参考になりますし、診療情報提供書がないと基本的な検査を一からやり直すことになってしまうためです。