月経前症候群(Premenstrual Syndrome:PMS)について知っておいてほしいこと
月経前の不調が続いても受診は大げさだと思う人が多いかもしれません。そこで、受診の目安となるセルフチェック方法や、症状を和らげるために自分でできる対処法など、PMSで知っておいてほしいことを説明します。
目次
1. 月経前症候群(PMS)かもしれないと思った人が知っておくべきことは?
月経前症候群の診断には、症状の種類と同じ時期に繰り返して起きていることが必要です。月経前症候群かもしれないと思った時に、自分で確かめるために必要な症状の時期と、セルフチェック方法について説明します。
月経周期のどの時期に症状が起こるのか?
月経前症候群は月経の3-10日前くらいから起こります。月経が起きるとともにその症状が軽くなったり、消えていくものとされています。
月経前症候群の症状が起こる時期は月経周期のうちの、黄体期に相当します。黄体期とは排卵後から月経までの期間をさします。この時期に多くなるプロゲステロン(黄体
セルフチェック方法はどんなものがある?
月経前症候群のセルフチェック方法の一つに、厚生労働科学研究費補助金を受けた研究班が運営する「女性の健康推進室ヘルスケアラボWEBサイト」のチェックリストがあります。症状をチェックする際は、その症状の期間が生理10日前くらいから起こり、生理開始後数日までかどうかと、日常生活や仕事、学業に支障が出ているかどうかを合わせて考えてみてください。
2. 症状を改善させるサプリメントはあるのか?
PMSの症状を改善させるサプリメントなどの研究は各種行われています。現時点で効果の可能性が報告されているサプリメントは次の通りとなっています。
- カルシウム
- マグネシウム
ビタミン B6- 大豆イソフラボン
- チェストベリー(西洋ハーブ)
参考文献
・Whelan AM et al., Herbs, vitamins and minerals in the treatment of premenstrual syndrome: a systematic review. Can J Clin Pharmacol. 2009 Fall;16(3):e407-29.
それぞれについて説明します。
カルシウム
カルシウムを摂取するとPMSによる不調を緩和するといわれています。PMSの症状がある人が1日1000-1200mgのカルシウムを約3か月継続して摂取したところ、否定的な感情や
カルシウムがPMSに効果がある仕組みははっきりしていませんが、カルシウムを摂取することで、過剰分泌されるとイライラや
日本人では年齢性別問わずカルシウムの摂取量が不足気味です。そのため、PMSかどうかに関わらず、カルシウムの多い食品を意識して食事に取り入れるようにすると良いです。
◎カルシウムを多く含む食材
カルシウムは牛乳やヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚、海藻類、大豆製品、野菜などに多く含まれます。特に牛乳や乳製品のカルシウムの吸収率は他の食品より高く、効率よく摂取ができます。乳製品、小魚や海藻類、大豆製品、野菜の4つの食品群から最低2群以上をとるように心がけると、バランスよく栄養も摂取することができます。
1食分のカルシウム含有量は次の通りです。
| 食品群 | 食品名 | 摂取量 | カルシウム含有量 |
| 牛乳・乳製品 | 牛乳 | コップ1杯(200g) | 220mg |
| ヨーグルト | 1パック(100g) | 120mg | |
| プロセスチーズ | 1切れ(20g) | 126mg | |
| 野菜 | 小松菜 | 1/4束(70g) | 119mg |
| 水菜 | 1/4束(50g) | 105mg | |
| 海藻 | ひじき | 煮物1食分(10g) | 140mg |
| 小魚 | さくらえび(素干し) | 大さじ1杯(5g) | 100mg |
| ししゃも | 3尾(45g) | 149mg | |
| 豆類 | 木綿豆腐 | 1/2丁(150g) | 180mg |
| 厚揚げ | 1/2枚(100g) | 240mg |
*農林水産省「大切な栄養素カルシウム」をもとに編集
カルシウムの体内利用や吸収率促進に
なお、カルシウムは骨粗しょう症などの病気に対し医薬品としても処方されます。カルシウム製剤を使用中の人はサプリメントによって過剰摂取となる可能性がありますので、かかりつけのお医者さんや薬剤師さんに相談をしてください。
マグネシウム
カルシウムの吸収にはマグネシウムも有効です。食品ではアーモンド、ひじき、納豆、豆腐、さつまいもなどに多く含まれます。
チェストベリー
チェストベリーは西洋ハーブの一種で、海外では古くからサプリメントや医薬品として使用されてきました。PMSに対しては、イライラ感、ふさぎ込む感じ、怒り、頭痛、
日本では2014年より、チェストベリー抽出物の医薬品がプレフェミン®として薬局で販売されています。プレフェミンの詳細については「月経前症候群(PMS)の治療」に書いてありますので読んでみてください。
参考文献
Schellenberg R. Treatment for the premenstrual syndrome with agnus castus fruit extract: prospective, randomised, placebo controlled study. BMJ. 2001 Jan 20;322(7279):134-7.
ビタミンB6
ビタミンB6の補充でPMSの症状が緩和されたという研究がいくつかあります。
ビタミンB6が多く含まれている食品として、魚、牛レバー、ジャガイモなどのでんぷん質の野菜、バナナなどがあります。ビタミンB6の摂取量の基準は1日1.3mgであり、通常の食生活で必要量が不足することはほとんどありません。
もしビタミンB6不足による症状があり食事からでは十分量の摂取が難しいようであれば、サプリメントからビタミンB6を補うのも一つの選択肢と考えられます。しかし、長期間にわたって大量のビタミンB6を摂取すると過剰症状を引き起こす可能性がありますので注意してください。
大豆イソフラボン
はっきりとわかってはいませんが、大豆イソフラボンにはPMSの症状を軽減する可能性があるのではないかと言われています。
大豆に含まれる大豆イソフラボンは、構造が女性ホルモンの一つである
ただし、妊婦や子どもでは、日常的な食事に上乗せして、大豆イソフラボンを含むサプリメント等を摂取するのは避けたほうが良いとされています。また、大豆イソフラボンを含む健康食品は多数販売されていますので、併用によって摂取量が多くなりすぎないように注意してください。
3. 効果のあるハーブティはあるのか?

PMSにはリラックスやストレス解消も有効です。その一つとして、お気に入りのハーブティをゆっくり飲む時間をとることも良いです。
また、上記で紹介した西洋ハーブの一種であるチェストベリーは、ハーブティとして摂取できますので、一つの選択肢として考えてみてください。
4. 効果のある食べ物はあるのか?
カルシウムは現在までの研究結果で、PMSにおそらく有効と考えられている栄養素です。日本人のカルシウム摂取量は年齢や性別に関わらず不足しています。そのため、カルシウムを多く含む食材を食事に加えるよう心がけるとともに、摂取する際には、吸収をよくするために、ビタミンDやマグネシウムも一緒にとることが勧められます。
カフェインや甘いもの、アルコールの過剰摂取は症状を悪化させます。PMSの治療にはリラックスも有効ですので、全てやめなければいけないというのではなく、リラックスのために、適切な量でうまく付き合うようにしてください。
5. ツボ押しは効果があるのか?
PMSの症状を緩和させると言われているツボはいくつか知られています。ツボ押しのみで症状が全て改善することはないかもしれませんが、リラックスできるようであれば、ツボの部分を優しく押したり、温めたりなどを試してみてください。

◎三陰交(さんいんこう)
婦人科系に効果のあるツボと言われています。足の内側のくるぶしから指4本分上の、すねの骨の後ろのきわです。冷えやむくみにも良いと言われています。
◎太衝(たいしょう)
イライラした気持ちや腰痛、不眠に効果があると言われています。足の甲の部分で、足の親指と人差し指の骨の間のあたりです。
◎湧泉(ゆうせん)
朝起きられないとき、やる気がでないときに効果があると言われているツボです。足の裏の中央より少し上、足指を曲げた際にくぼむ部分です。
6. アロマテラピーは効果があるのか?
アロマテラピーがPMSに効果があるかどうかは、現時点でははっきりしていません。しかし、PMSへの対処法としてリラックスすることや、気分を落ち着かせることは有効であり、その一つの方法としてアロマテラピーを用いてみても良いです。PMSの時期に合わせて、ご自身の好きな香りでゆったりと過ごしてみてください。