がんぐりおん
ガングリオン
手首や指の関節の周囲にしこりができる病気
6人の医師がチェック 83回の改訂 最終更新: 2022.03.11

ガングリオンの人が知っておきたいお役立ち情報:潰しちゃだめ!再発したときの対応

ガングリオンは治療をせずに様子をみることもできますが、「痛みやしびれなどの困った症状がある人」や「見た目が気になる人」は治療が必要になります。ここでは治療の前後で知っておきたいことをまとめました。

1. ガングリオンの治療前に知っておきたいこと

ガングリオンは治療をせずに様子をみることができることもある一方で、「痛みやしびれなどの困った症状がある人」や「見た目が気になる人」には治療が必要です。

ガングリオンの治療を受ける前に以下のことを知っておくと良いです。

  • 悪性の病気なのか
  • 自然治癒するのか
  • つぶしてもいいのか
  • 湿布で治るのか
  • マッサージでなおるのか
  • できやすい人はいるのか
  • 治療の方法
  • 手術費用

それぞれの項目についてもう少し詳しく説明をします。治療を受ける判断材料として、もしくは治療を受ける前の心構えとして活用してください。

ガングリオンは悪性の病気なのか

ガングリオンは良性の病気です。がんのような悪性の病気と違って、転移したり周りの臓器を壊したりして生命をおびやかすことはありません。良性の病気なので、「痛みやしびれなどの困った症状がない人」や「見た目が気にならない人」は無治療でも命に問題はありません。

ガングリオンは自然治癒するのか

ガングリオンは自然治癒してなくなることがあると知られています。生活する上で困った症状がなく見た目も気にならないので放置していたら自然になくなった、というのはありえる話です。

一方で、生活する上で困った症状がある人や見た目が気になる人は治療する方が望ましいです。治療法には穿刺療法(針を刺して中身を抜く)や手術(外科的治療)があります。

治療の方法については「ガングリオンの治療」で詳しく説明しているので参考にしてください。

ガングリオンはつぶしてもいいのか、つぶれた場合はどうすればいいのか

ガングリオンを自分でつぶして治そうとする人がいますが、これはあまり良くありません。ガングリオンはつぶすと治ることもありますが、必ず上手くいとはかぎりません。上手く行かなかった場合に、結局のところ医療機関での治療が必要になります。

また、ガングリオンをつぶすには強い力が必要です。強い力を加えると周りの筋肉や神経にもダメージを与えてしまうことがあり、しびれや痛みなどの後遺症の原因にもなります。ガングリオンをきちんと治療したいのであれば、自分でつぶすのではなく、医療機関で適切な治療を受けてください。

つぶしてしまった人や何かの拍子につぶれてしまった人はその後の経過を慎重に様子を観察してください。だんだんと大きくなってきたり、痛みやしびれが出てきた場合には、医療機関を受診して治療を受けるようにしてください。

ガングリオンは湿布でなおるのか

湿布薬には痛みを和らげる効果は期待できますが、ガングリオンを小さくしたり消しさったりする効果は期待できません。ガングリオンを治療したい人は医療機関を受診した方がよいです。

治療の方法は「ガングリオンの治療」で詳しく説明しているので参考にしてください。

ガングリオンはマッサージでなおるのか

マッサージによってガングリオンが治ることは期待しにくいです。また、マッサージで強い力をかけるとガングリオンがつぶれてしまうことがあるので、注意してください。ガングリオンを押しつぶすときに周囲の神経や筋肉に悪影響が出ることがあります。

マッサージを頻繁に行わなければならないほど症状や見た目が気になるのであれば、医療機関を受診してお医者さんに相談してみてください。

治療の方法は「ガングリオンの治療」で詳しく説明しているので参考にしてください。

ガングリオンができやすい人はいるのか

ガングリオンは女性に多く、20-50歳の人にできやすいことが知られています。それ以外の、食事や生活習慣などでガングリオンと関係のあるものは明らかになっていません。このため、治療後に再発予防を目的に特別なことを行う必要はありません。

ガングリオンの治療(穿刺吸引術・手術)は痛いのか

「穿刺吸引治療(針を刺して中身の液体をぬく方法)」や「手術(液体の溜まっている袋ごと切り取る方法)」によってガングリオンを治療することができます。

どちらの方法も針を刺したり皮膚を切ったりするので、多少の痛みを伴います。痛みの感じ方は個人差があるので、どの程度の痛みがするかを一概に言うことはできません。

ただ、治療の際に生じる痛みをとるために局所麻酔が行われます。局所麻酔をするための細い注射針を刺すときには痛みを感じますが、麻酔が効いた後は痛みはほとんど感じません。また、治療中には麻酔薬を追加で使ってもらうことができます。治療中に痛みを感じた場合には、遠慮なくお医者さんに痛みがあることを伝えてください。

2. ガングリオンの治療後に知りたいこと

ガングリオンの治療後には知っておきたいことがいくつかあります。ここでは「手術後の注意点」と「再発」について説明します。

ガングリオンの手術後の注意点

手術後にはいくつか気をつけなければならないことがあります。特に大切な3つのことについて説明します。

■出血に注意する

手術の後にガングリオンを切り取った部分から出血することがあります。出血はにじむ程度であれば、そのまま様子をみても問題ありません。しかし、傷が腫れ上がったりガーゼをとりかえなければいけないほどの出血量の場合は、追加で処置する必要があるため、手術を受けた医療機関を受診して傷の状態を確認してもらってください。

■傷に負担をかけない

手術でできた傷にはできるだけ負担をかけないほうが良いです。手術してから間もないうちに傷に負担がかかると、痛みが強くなったり出血したりする原因になります。手術をした場所にもよりますが、傷の状態が落ち着くまでは傷の部分を固定して曲げたりしないようにすると、傷への負担が少なくなります。

■感染に注意する

傷に細菌がついて感染が起こることがあります。糖尿病の人や免疫抑制薬を飲んでいる人は特に感染が起こりやすいので注意が必要です。

感染が起きた場合、傷を少し開けてを出したり洗浄などの処置が必要になります。「傷が赤くなる」「傷が熱をもっている」といった徴候があるときには感染が起きている可能性があります。手術をした医療機関を受診して傷の状態を確認してもらってください。

ガングリオンは治療後にも再発するのか

ガングリオンは治療後に再発することが知られています。再発率は穿刺吸引治療と手術で異なるので別々に説明します。

治療の方法について先に知りたい人は「ガングリオンの治療」で解説しているので参考にしてください。

■穿刺吸引治療後の再発率

穿刺吸引治療は身体の外からガングリオンに針を刺して中身を抜きだして治療します。治療後の再発率は後で説明する手術に比べて高く、約半数は再発するとされています。

■手術後の再発率

手術ではガングリオンができている部分の皮膚をきってガングリオンを袋ごと取り出します。ガングリオンの中の液体だけではなくを袋ごと取り出すことができる点が穿刺吸引治療との違いです。手術後の再発率は穿刺吸引治療よりも低く約10%とされています。