えいんれっしょう、ちつへきれっしょう
会陰裂傷、腟壁裂傷
分娩時に腟の壁や腟と肛門の間(会陰)が裂けてしまうこと。裂け方がひどいと、直腸まで傷が及び手術が必要になることもある
9人の医師がチェック 123回の改訂 最終更新: 2022.02.09

会陰裂傷、腟壁裂傷の基礎知識

POINT 会陰裂傷、腟壁裂傷とは

会陰や膣が裂けてしまうことで、そのほとんどがお産の時に起こります。初産婦に多い傾向があります。軽症の会陰裂傷・膣壁裂傷は傷を適切に縫合することで治療できます。巨大児や骨盤が狭い場合などでは会陰裂傷・膣壁裂傷が重症化することがあり、大量出血や直腸・肛門にまで及ぶ傷の原因になることがあります。重症な会陰裂傷・膣壁裂傷は手術で傷の閉鎖を行い、抗菌薬を投与して傷への感染を予防します。

会陰裂傷、腟壁裂傷について

  • 経腟分娩の際に膣出口と肛門の間の会陰が裂けてしまうこと
  • 分娩時、新生児が腟壁や会陰の組織を引き延ばすことにより起こる
  • 以下のことがあると会陰裂傷が起こりやすい
    • 高齢初産や若年初産
    • 巨大児
    • 急速に進行する分娩
    • 吸引分娩や鉗子分娩
  • 会陰裂傷の治療をしないで傷が治ってしまった状態のことを、陳旧性会陰裂傷という
    • このとき肛門括約筋が損傷していると、便やガスが漏れるようになり、排便にも支障をきたす
  • 会陰裂傷はかすり傷程度から直腸まで裂けてしまう重症までに分けられる
    • 会陰の皮膚だけでなく、筋肉まで達する会陰裂傷になった場合その裂傷は自然に治ることは難しい
    • そのため筋肉まで達するような重症な裂傷を予防するために予め会陰切開を行うことがある
  • 会陰裂傷をできるだけ小さくするためには、分娩時のいきみのコントロールが重要である
    • 必要以上にいきんでしまうと裂傷が大きくなってしまうことがあるので、医師や助産師の声掛けを聞いて必要な時にだけいきむようにする

会陰裂傷、腟壁裂傷の症状

  • 分娩後に鮮やかな色の出血が起こる
  • 左右の真ん中近くが傷つき、腟裂傷を伴うことが多い

会陰裂傷、腟壁裂傷の検査・診断

  • 診察して会陰が裂傷していることを見つけることで診断する
  • 会陰裂傷の重症度は4段階で評価される
    • 第1度会陰裂傷:会陰皮膚のみ、膣壁粘膜表面のみに限局し、筋層には達しない裂傷
    • 第2度会陰裂傷:球海綿体筋や浅会陰横筋などの会陰筋層に及ぶが、外肛門括約筋には達しない裂傷
    • 第3度会陰裂傷:外肛門括約筋や直腸膣中隔に達する裂傷
    • 第4度会陰裂傷:第3度裂傷に加え、肛門粘膜や直腸粘膜の損傷を伴う裂傷

会陰裂傷、腟壁裂傷の治療法

  • 会陰裂傷、膣壁裂傷の深さによって治療法が異なる
  • 皮膚や粘膜のみが裂けた場合は自然に治る
  • 筋肉の層にまで達する場合は手術が必要
    • 手術は皮下麻酔を行って会陰・膣壁裂傷部位を縫合する
    • 肛門や直腸まで達するものは手術をしても、感染により直腸と腟の間や直腸と会陰の皮膚の間に穴が開いてしまうことがある
    • 感染を予防するために抗菌薬を投与する場合がある
    • 極稀だが一時的な人工肛門が必要になることがある

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