あすぴりんぜんそく
アスピリン喘息
アスピリンなどの解熱鎮痛薬によって引き起こされる喘息のこと
11人の医師がチェック 188回の改訂 最終更新: 2018.08.08

アスピリン喘息の基礎知識

POINT アスピリン喘息とは

アスピリン喘息はアスピリンなどの解熱鎮痛薬で喘息が誘発される病気です。単純な薬によるアレルギー反応とは異なります。主な症状は咳・息苦しさ・鼻づまりなどですが、蕁麻疹や粘膜の腫れを伴うことがあります。鼻茸(鼻ポリープ)を伴う慢性副鼻腔炎のある人に起こりやすいことが分かっています。 症状や背景から診断します。解熱鎮痛薬を飲んで症状が出るかを試すこと(チャレンジテスト、負荷試験)を行うことがありますが、重症な状態を引き起こすリスクがありますのでよほどの事情がない限り行いません。気管支を拡張させる薬や炎症を抑える薬を用いて、通常の気管支喘息と同じように治療します。アスピリン喘息が心配な人や治療したい人は、呼吸器内科・救急科を受診して下さい。

アスピリン喘息について

  • アスピリンなどの解熱鎮痛薬によって引き起こされる喘息のこと
    • 解熱鎮痛薬に対するアレルギーによって喘息発作が生じることはあるが、アスピリン喘息は厳密にはアレルギー以外のメカニズムで喘息が起きるものを指す
  • 成人(30-50歳代)発症喘息の約10%がアスピリン喘息であると考えられている
    • 子どもでは珍しい
    • 女性は男性の1.5倍多い
  • 慢性副鼻腔炎合併することが多い
    • 慢性副鼻腔の中でもポリープ(鼻茸)のある喘息患者の半分以上がアスピリン喘息となると考えられている
  • 非常に重症な喘息発作を起こすことが多いので注意が必要である
  • 喘息の他に皮膚症状を伴う場合もある

アスピリン喘息の症状

  • 主な呼吸器の症状
    • 激しい喘息の症状
    • 鼻水や鼻づまり
    • 激しい咳
    • 息苦しさ
    • 鼻の粘膜に突起物(鼻茸
      • 鼻茸による嗅覚低下が見られやすい
  • 下記のような皮膚の症状が出ることもある
    • 体の一部のじんましん
    • 目の周りの腫れや口や口びるの腫れ
  • 痛み止め、解熱薬を服用して直後から約2時間以内に発作が起こることが多い
  • 呼吸が止まったり意識障害を起こすなど、重症になりやすい
    • 呼吸困難や意識障害が起こったときは、救急車を呼ぶ必要がある

アスピリン喘息の検査・診断

  • 問診と症状から診断する
  • 負荷試験
    • 負荷試験
      • 劇的に喘息が悪化する危険性があるので、どうしても解熱鎮痛薬を使わなくてはならない人(リウマチで痛みがひどい人など)に対してのみ行う検査
      • 試しに痛み止めや解熱薬を特別な方法で使用して、喘息発作が起きるかを確認する
      • 喘息が悪化した時の対策を十分に講じた上で行う必要がある。そのため基本的に入院で行うことのほうが望ましい

アスピリン喘息の治療法

  • 基本的な治療方針
    • 発作時は喘息に準じた対応をする
      • アドレナリン気管支を拡張させる)
      • 吸入ステロイド炎症を抑える)
      • アレルギー薬(炎症を抑える)
      • ロイコトリエン受容体拮抗薬(炎症を抑える)
      • テオフィリン(気管支を拡張させる)
      • β刺激薬(気管支を拡張させる)
    • ステロイド薬の点滴には慎重は判断が必要
      • コハク酸エステル型ステロイドに対してアレルギー反応が起こりやすいのでこれを用いてはならない
      • 主なコハク酸エステル型ステロイドは以下である
        • ソル・メドロール®
        • ソル・コーテフ®
        • サクシゾン®
        • 水溶性プレドニン®
      • リン酸エステル型ステロイドに対してアレルギー反応が起こりにくいが、点滴で急速投与することは避けるべき
      • 主なリン酸エステル型ステロイドは以下である
        • デカドロン®
        • リンデロン®
        • 水溶性ハイドロコートン®
  • 早期対応のポイント
    • 喘息のある人が解熱鎮痛薬を使用するときは、たとえ市販薬でも注意する
      • 呼吸の苦しい症状を自覚してから急速に呼吸困難に陥ることがあるため、すみやかに救急車を呼ぶ
      • 救急車が到着するまでに、普段使用している喘息発作時の頓用薬があれば、使用すると良い
      • 救急車や医療機関には、「喘息がもともとあって、解熱薬を何時何分頃服用し、息苦しくなった」などの内容を伝える
  • 長期的な経過
    • 過去にアスピリン過敏症(アスピリン喘息)を起こしたことがある場合は、原因となる薬を飲まないようにすることが大切
    • 自己判断での薬剤使用はしない(ほとんど全ての解熱鎮痛薬で発作が起きうると考えたほうが良い)
    • 飲み薬だけでなく、坐薬や貼り薬、塗り薬でも起きる
    • 多くの場合は一生続くため、喘息がよくなっていても過去に喘息を引き起こした薬は基本的に使用しない
    • あらゆる薬を拒否しようとするのは誤り(具体的な対応策は主治医と相談する)
  • 痛みや発熱があるときの対処法
    • 原因となる痛み止めや鎮痛薬を使わない(解熱鎮痛薬に関しては主治医と相談する)
    • 着色料や防腐剤などの食品添加物・日用品でも症状が出ることがあるので注意

アスピリン喘息が含まれる病気

アスピリン喘息のタグ

アスピリン喘息に関わるからだの部位