ききょう
気胸
肋骨の内側で肺の外側の胸腔というスペースに空気が貯まった状態。肺に穴が空いてしまい空気が漏れることによって起こることが多い
24人の医師がチェック 181回の改訂 最終更新: 2017.12.06

Beta 気胸のQ&A

    気胸の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    肺は呼吸によって伸び縮みする臓器ですが、胸郭という箱に覆われています。胸郭の中は大気圧よりも低い圧力になっており、そのため肺は自然にふくらみます。肺に穴があき胸腔内に空気が漏れると胸腔内の圧力が上昇し肺が縮みます。これを気胸といいます。 気胸の中で最も多いのは「自然気胸」で、肺が破れやすい状態にある方に発症します。特に高身長の若年男性では、身長の成長に肺の成長が追いつかず肺が引き伸ばされて破れやすい部分(ブラ・ブレブ)が存在し発症しやすくなります。喫煙も気胸の発症率を大きく上昇させることが分かっています。その他の代表的な疾患としては間質性肺炎や肺気腫などがあります。

    気胸のその他の原因について教えて下さい。

    外傷のダメージで発症する「外傷性気胸」や、子宮粘膜が何らかの理由で胸膜に出現し月経に伴って炎症を起こし気胸を発症する「月経随伴性気胸」などがあります。

    気胸の頻度と、発症しやすくなる原因は?

    気胸全体の頻度はわかりませんが、喫煙に伴う肺気腫の重症度が高いほど、気胸も発症しやすいことが判明しています。1日22本以上の重喫煙者は非喫煙者と比較し、男性で102倍、女性で68倍の発症率があると報告されています。

    気胸は、遺伝する病気ですか?

    気胸は嚢胞性線維症やBirt-Hogg-Dube症候群、Marfan症候群などの先天性疾患に合併しやすく遺伝性をもつものも存在しますが、多くは遺伝するものではありません。ただし、高身長の男性や、受動喫煙も含めた喫煙習慣で発症リスクが上昇するため、高身長の家系や家族に喫煙者がいる場合には注意が必要です。

    気胸はどんな症状で発症し、重症化するとどのような症状が起こりますか?

    突然の胸痛と、それに持続する息苦しさで気づかれることが多いです。肺の縮み具合で症状が異なり、程度が強い気胸の場合、片側の胸腔内圧が高度に上昇し心臓を圧迫することで、心臓の動きが悪くなり、最悪の場合死亡するケースもあります。このように気胸によって心臓を圧迫し血圧が低下する場合を「緊張性気胸」といい、迅速な治療が必要です。

    気胸は、どのように診断するのですか?

    まず問診・聴診を行い、その後確定診断のために画像検査を行います。胸部レントゲンである程度診断可能ですが、小さな気胸の場合は胸部CTが有効です。ただし、緊張性気胸の場合は、レントゲンやCTを取る時間も確保できないほど緊急性があるため、診察のみで判断し治療を開始することもあります。近年では、超音波検査(エコー)による診断も行われており、放射線の被爆もないため、今後さらに普及するかもしれません。

    気胸と診断が紛らわしい病気はありますか?

    症状が強ければ画像検査を行うため、気胸の診断は比較的容易です。しかし、息苦しさがなく軽度の胸痛のみの場合は様々な紛らわしい病気があり、心筋梗塞や帯状疱疹、胸膜炎、縦隔気腫、肺梗塞などが同様の症状を起こします。診断を行う際には、画像検査のみで診断できる気胸から区別することが多いと思われます。

    気胸の治療法について教えて下さい。

    1. 保存的治療 軽症であった場合、自然に穴がふさがるのを待つこともあります。胸腔内に漏れた空気は時間をかけて自然に吸収されます。

    2. 胸腔ドレーン挿入・胸膜癒着術 中等症以上の気胸の場合、肺を膨らませるために側胸部肋間に管(ドレーン)を挿入し空気を抜きます。その後、肺の穴がふさがるのを待つ場合もありますが、一定期間空気の漏れ(リーク)が無くならない場合は手術か胸膜癒着術を行います。手術が困難な場合には、ドレーンから薬剤を胸腔内に注入し、肺を胸腔の内側にくっつけることで空気が漏れるスペースを無くします。胸腔ドレーンは治療のためやむを得ない場合もありますが、体の外から管を差し込むため痛みや出血、創部感染などの合併症が起こる可能性があります。胸膜癒着術は比較的安全に行えますが、薬剤によるアレルギーや発熱などが問題になります。さらに肺が胸腔にくっつくことで肺の伸び縮みがしづらくなり、呼吸機能が低下する場合もあります。

    気胸のその他の治療法について教えて下さい。

    1. 手術 胸腔ドレーンで完治しない場合や、短期間での再発例に行います。特にブラやブレブといった破れやすい部分がある場合は切除します。現在は胸腔鏡で行うため、創部は小さく入院期間も短くなっています。

    2. 気管支鏡下気管支塞栓術 胸腔ドレーンなどで改善が得られず、肺自体や全身状態が悪く手術も困難な状況の場合に選択されることがあります。肺が破れている部分を同定し、そこにつながる気管支の根元に詰め物をして空気がもれないようにします。治療効果は問題ありませんが、詰め物が外れて再発するリスクがあります。

    気胸では入院が必要ですか?

    軽症で保存的に治療できる場合には外来治療も可能です。発症早期の場合やもともと肺が悪い方は、急激に悪化する場合もあり、入院治療をすすめます。入院期間は様々ですが、胸腔ドレーンを挿入した場合、1-2週間程度の入院が必要になります。

    気胸は、再発を予防できる病気ですか?

    手術によって原因となる病変を切除できる場合には予防可能です。しかし、間質性肺炎や肺気腫など肺全体の状態が悪くなって気胸が生じやすくなっている場合は、手術での予防は困難です。手術以外の治療の場合は再発率も比較的高いと考えておいてください。

    気胸に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    いきむことや強い咳などで発症することが多く、咳止めなど使用する場合もあります。若年者では吹奏楽部などいきむむことが多い部活の場合は、指導を行うこともあります。確実なリスクとして、喫煙が挙げられますので禁煙は必須です。また、気胸治療後すくなくとも3週間ほどは飛行機への搭乗は控えたほうが良いでしょう。スキューバダイビングに関しては肺に非常に高い圧力がかかって、水中で気胸を発症すると危険なので、気胸になったことがある場合にはダイビングは生涯に渡って推奨できません。


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