すいみんじむこきゅうしょうこうぐん(さす)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠中に一時的に呼吸が止まってしまう病気
23人の医師がチェック 210回の改訂 最終更新: 2024.11.07

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査について:ポリソムノグラフィー、簡易検査など

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。いびきや眠りの浅さに困るだけでなく、身体に様々な悪影響を及ぼします。そのため、心当たりがある人には早めの検査をお勧めします。ここでは、睡眠時無呼吸症候群を診断するための検査について説明します。

1. ポリソムノグラフィー(PSG)

睡眠時無呼吸症候群は、いびきや日中の眠気などの症状をきっかけとして疑われることが多い病気です。しかし、自覚症状や問診だけで診断を確定することはできず、睡眠中にどのくらい呼吸が止まっているかを測定する必要があります。

そのための精密検査に「ポリソムノグラフィー」があります。英語でのpolysomnographyを略して「PSG(ピーエスジー)」と言ったり、「ポリグラフ検査」と呼ばれることもあります。

PSGの検査内容

PSGでは基本的に1泊の検査入院が必要となります。心電図、呼吸モニター、血中酸素モニター、脳波、筋電図といった多くの機器をつけたまま一晩寝ます。これにより睡眠中に呼吸が止まった・あるいは止まりかけた回数を測定できます。また、眠りの質や体位と無呼吸の関係、呼吸が止まっている原因なども判別できます。

PSGにはこのように入院設備とやや特殊な検査機器が必要となるため、どの医療機関でも実施できるものではありません。PSG検査を受けたい人は、検査に対応しているかどうか電話などで確認してから受診することをお勧めします。

PSGの検査費用

3割の自己負担(保険適用)でPSGを受ける人は、通常1.5万円-4万円くらいの窓口支払額となります。PSGは個室での検査が必要となるため、保険適用とならない個室入院代金などが検査料と別にかかります。そのため、保険適用の検査ではあるものの医療機関により費用の差が大きくなっています。

2. 簡易モニター

睡眠時無呼吸症候群の診断で最も信頼できる検査はPSGです。しかし、それなりの費用がかかり、入院も必要となるため負担が比較的大きいです。そこで精度は劣りますが、より手軽な簡易モニターによる検査もあります。

簡易モニターの検査内容

簡易モニターによる検査は自宅で行えて、費用面の負担も軽いというメリットがあります。寝ている間に体内の酸素濃度を測るだけのものと、呼吸状態も合わせてより詳しく調べるものがあります。

いずれの簡易モニター検査にしても、PSGよりは精度が劣り検査項目も限られているため、簡易モニターでの値を100%信用することはできません。そのため、睡眠時無呼吸症候群の有無をひとまず調べるのには便利ですが、重症度を判断して実際に治療を始めていく人ではPSGも追加で必要になることが多いです。

簡易モニターの検査費用

3割の自己負担(保険適用)で簡易モニター検査を受ける人の負担額は次の通りです。

  • 酸素濃度を測るだけの検査:およそ300円
  • 呼吸状態も合わせて調べる検査:およそ3,000円

*受診料は別途必要です

検査は自宅で受けられますが、検査を受けられるように手配してもらったり、検査結果を聞くためには、原則的に医療機関を受診する必要があります。

3. その他:呼吸機能検査、心電図検査、胸部X線検査など

睡眠時無呼吸症候群の診断には直接結びつきませんが、呼吸機能検査(肺活量検査)、心電図検査胸部X線レントゲン)検査なども行われることがあります。

これらは主に、睡眠時無呼吸症候群の原因となるような心臓の病気をチェックしたり、睡眠時無呼吸症候群と紛らわしい肺の病気をチェックするなどの目的で行われます。

医療機関や担当のお医者さんによっては、これらの検査は全く行われないこともあります。

参考文献

日本呼吸器学会/厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究」班/監修, 「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」, 南江堂, 2020