血液検査でB型肝炎の感染状況を調べる研究
国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの研究班が、調査結果を医学誌『Vaccine』に報告しました。
この研究では、2005年から2011年にかけて全国で健康な人から採血し、抗原・抗体検査でB型肝炎ウイルスに感染している人の数を調べました。
5人の子どもがHBs抗原陽性
検査の結果、4歳から15歳までの子ども3,000人のうち、HBs抗原が陽性の結果が出た子どもが5人いました。陽性の結果は日本の南部地域で多く見られました。
HBs抗原が陽性だった子どもの体には、現在B型肝炎ウイルスが体の中にいると考えられます。
研究班はこの結果から「[...]B型肝炎ウイルスに感染する機会は、特に一部の地域では、我々が考えていたよりも頻繁にある」と述べています。
2か月以上の子は予防接種に行こう!
健康な子どももB型肝炎ウイルスに感染していることが確かめられました。仮にこの報告のとおりの割合と考えると、同じ年齢の子どもは全国で1300万人ほどいるので、2万人ほどがB型肝炎ウイルスに感染している計算になります。
B型肝炎ウイルスの感染経路はおおむね理解されていますが、今年2月に報道された、神戸中央病院で原因不明の感染者が多発した例のように、感染源を特定できない場合も中にはあります。
B型肝炎の予防にはワクチンが有効です。定期接種は原則として自己負担無料です。生後2か月、3か月、7-8か月の計3回注射します。1歳になると定期接種の対象にならなくなるので、いま対象になる子どもには早めに1回目の注射を打ってください。
執筆者
Seroepidemiological study of hepatitis B virus markers in Japan.
Vaccine. 2015 Nov 9.
[PMID: 26341564]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。