◆85,300人を調査
アメリカの診療データベースから情報を取り出すことで、病的肥満患者4,385人を含む85,300人について、大腸がんの手術前後の死亡率などを調査し、肥満でない患者と病的肥満患者を比較しました。病的肥満は、BMI(体重×身長の2乗)が40kg/m2以上と定義しました。
◆病的肥満により大腸がん手術前後の死亡率が増加
その結果、病的肥満患者は、肥満でない患者と比べて、大腸がんの手術前後に他の病気を同時に発生する人が多くいました。また、手術に関連する合併症を発症する人も多く、腹腔鏡を使った手術から開腹手術へ変更する人も多くいました。
手術前後の死亡率を調べると、以下のように病的肥満の人では手術前後の死亡が多かったことが示されました。
多変量解析では、病的肥満により、大腸がん手術の周術期死亡率が増加した(オッズ比1.85、95%信頼区間1.15、2.97)。手術の合併症で調節した後も、死亡率は有意なままであった(オッズ比1.79、95%信頼区間1.12、2.88)。
病的肥満は、糖尿病などほかの病気と関係するだけでなく、それ自体が治療の対象となるものです。肥満は今回の結果のように、様々な危険を抱える原因となる可能性があります。できるだけ肥満にならないように努めることが大事だと思われます。
執筆者
Morbid Obesity is Associated with Increased Mortality, Surgical Complications, and Incremental Health Care Utilization in the Peri-Operative Period of Colorectal Cancer Surgery.
World J Surg. 2016 Apr.
[PMID: 26643515]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。