2016.03.02 | ニュース

皮膚がカサカサになる「乾癬」の原因と抗生物質に関係はあるか?

イギリスの子ども9千人のデータから
from JAMA dermatology
皮膚がカサカサになる「乾癬」の原因と抗生物質に関係はあるか?の写真
(C) miamariam - Fotolia.com

乾癬の原因は不明ですが、一部には免疫の異常が関係していると言われています。抗菌薬(抗生物質)は、腸内細菌のバランスを変えるなどして全身に影響がありますが、乾癬とは関係するのでしょうか。イギリスのデータをもとに検討が行われました。

◆乾癬が出た子どもは以前に抗菌薬を使っていたか?

研究班は、イギリスの健康調査データを使って解析を行いました。1歳から15歳の子どもを対象として、新たに乾癬を診断された子ども845人と、乾癬がない子ども8450人を比較し、直前2年間に抗菌薬の全身使用をしていたかどうかを調べました。

 

◆感染症と関連あり、抗菌薬は無関係?

次の結果が得られました。

[...]直前2年間の抗菌薬曝露は乾癬の新規発症と弱い関連があった(調整オッズ比1.2、95%信頼区間1.0-1.5)。皮膚感染症との関連(調整オッズ比1.5、95%信頼区間1.2-1.7)と、ほかの場所の感染症との関連(調整オッズ比1.3、95%信頼区間1.1-1.6)は類似していた。治療されていない皮膚以外の感染症(調整オッズ比1.5、95%信頼区間1.3-1.8)は乾癬と関連したが、抗菌薬で治療された皮膚以外の感染症は関連がなかった(調整オッズ比1.1、95%信頼区間0.9-1.4)。

抗菌薬を使っていた子どもで、乾癬がわずかに多くなっていましたが、抗菌薬使用の有無とは別に、感染症があった子どもでは乾癬が多くなっていました。そのうち抗菌薬で治療された場合と治療されなかった場合を分けると、抗菌薬を使わなかったときは乾癬が多くなっていましたが、抗菌薬を使ったときは感染症がなかったときと差が見られませんでした。

研究班は「感染症は小児期の乾癬の発生と関連するが、抗菌薬はそのリスクに実質的に寄与していないと思われる」と結論しています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Antibiotic Exposure, Infection, and the Development of Pediatric Psoriasis: A Nested Case-Control Study.

JAMA Dermatol. 2016 Feb 1.

[PMID: 26560335]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。